畜産農家それぞれのカタチ 畜産農家それぞれのカタチ
 畜産農家と言っても、経営スタイルや規模はさまざまで、家族で営む農家、従業員を雇う大きな経営、畜産物を使った加工や販売を行う経営など、農家の数だけ哲学があり、それぞれのやり方があります。ここで登場する農家の考えや働き方に触れ、あなたが「目指す将来像」を見つけてください。
酪農家イラスト
酪農家
乳牛を飼って、生乳を生産する仕事。

 牧場で乳牛を飼い、子牛を産ませ、乳を絞って生乳を生産するのが酪農の仕事です。乳牛には、馴染みの深いホルスタイン種のほか、ジャージー種やブラウンスイス種など、さまざまな種類があります。品質の高い美味しい生乳を生産するためには、良質な餌だけでなく、牛たちの健康管理が欠かせません。毎日、牛舎の掃除や敷料の取り替えなど、牛にとってストレスの少ない環境を整えたり、病気やケガをしないよう管理することも大事な仕事です。

畜産農家それぞれのカタチ
株式会社 clover farm富山県高岡市
青沼 光さん

 中学生の時、テレビで牛の放牧風景を見たことをきっかけに、「牛を飼って生活できる仕事っていいな」と、興味を抱くようになった青沼さん。農業高校と大学の農学部で学び、長野県と富山県の牧場で研修。その後、引退する酪農家から牧場を継承し、現在、約160頭の乳牛を飼育しています。

 「常に考えているのは、乳牛が地域に必要とされる存在になること。そのために生乳の生産だけでなく、地域との連携に力を入れています」という青沼さん。 “エコフィード(食品製造副産物等を利用して製造された飼料)”という地域内の店や工場から出る植物性の残さを餌に活用したり、生乳を加工所に卸してジェラートやソフトクリームにしてもらったり、周辺農家と協力して自給飼料づくりに取り組むなど、活動を広げています。

 「酪農家は、乳牛のことを一番知っている技術者。だからこそ、生乳の生産拡大という課題に取り組みつつ、牛乳の魅力を高めてくれるプロの方々と連携することで、酪農と地域の距離を近づけ、乳牛が必要とされる環境をつくっていきたいんです」。

 後継者も育てながら、たくさんの夢を追いかける青沼さんの挑戦は、まだまだ続いていきます。

肉用牛農家イラスト
肉用牛農家
牛を育てて、牛肉を生産する仕事。

 肉用牛農家は、牛を育て出荷するのが仕事です。「繁殖農家」「肥育農家」「一貫経営農家」という3つのタイプに分けられ、それぞれが異なるかたちで牛肉生産に関わっています。そのうち肥育農家は、購入した子牛の体調管理をしながら、良い肉質になるよう育て上げ、出荷する役割を担います。朝夕の給餌をはじめ、牛舎の清掃、家畜排泄物の堆肥化、経営・管理など、さまざまな作業があります。

畜産農家それぞれのカタチ
株式会社牛鳴ファーム三重県度会郡大紀町
西田 裕哉さん

 一度は会社勤めをしたものの、幼い頃から身近だった農業に惹かれ、祖父母がやっていた松阪牛の肥育農家を継いだ西田さん。サラリーマン時代と比べて、「自分のペースで1日の仕事を組み立てて、思うようにやっていけるのがこの仕事の魅力。牛ってのんびりしてるんです。そういう姿を見ていると、こっちまで和みますね」と笑います。

 松阪牛といえば、全国でも有名なブランド牛。肉質のいい牛に育てるため、生育段階に合わせて濃厚飼料などの配合や分量を細かく調整して栄養管理を行うなど、肥育には確かな技術が求められます。その一方で、輸入飼料の高騰や農家の減少など、牛の生産を取り巻く環境も徐々に変わっているのだとか。

 「これからは時代に合わせて経営スタイルも変えていく必要があり、柔軟に対応していかなければと思っています。農家にもいろいろありますが、大事なのは“ひと”。畜産に興味を持ったら、魅力的だなと思う人をまず見つけてほしい。その人を通して、仕事の面白さを学べるはずです」。ブランド牛の継承に責任を感じながらも、常に柔軟であろうとする西田さん。

 牧場の未来に向けて、畜産の新たな可能性を模索しています。

戻る