井村正信さん、高原和光さん、川田範英さん、井村純一さんの4人は、それぞれ酪農経営を行っていたが、平成2年の雲仙普賢岳の噴火、大火砕流等の発生により被災した。住宅、施設等が避難地域であったため、搾乳牛は県内の知人酪農家の空き牛房に分散して預け、育成牛は家畜市場に運び込み泊まり込みで飼養を続けた。4人は、平成5年、雲仙生乳生産組合を設立し、震災復興等の基金事業により牛舎・施設・採草地を整備した。平成11年にはヌレ子価格が低迷したことから、共同で牛舎を建設し、肥育部門を取り入れ所得の向上も図っている。注目すべきは、作業の効率性とともに、将来を見据えたふん尿処理等環境対策に配慮した畜舎・施設用地および採草地の集積である。畜産経営が移転により再開する場合、地域環境に配慮は欠かすことのできない要素であり、当該事例にみる土地集積の活動は参考となる。