非農家出身の福元さんは大学在学中に畜産に興味を持つ。卒業後、広島県の牧場に就職し飼養管理技術と経営感覚を習得した後、福島県いわき市でジャージー牛の牧場を開く。夢であったジャージーの放牧酪農によるナチュラルチーズの生産に取り組み、ようやく販売を始めて半年経った平成23年3月、東日本大震災で被災した。原発事故に起因する放射性物質の飛散により、放牧地および草地の利用ができなくなり、妻の理解と協力を得て、ほかに経営を移転し、再出発することを決意。そのことが最初に就職した牧場の経営主の耳に入り、近隣の空き牛舎を紹介してもらった。ひとまずそこに牛を移動させ、広島県内で候補地を探すことになる。その後、関係者の支援もあり、牛舎、草地を確保し経営を再開。現在、放牧地の整備、市の助成によるチーズ工房の建設を進めている。個人の力では限界がある。移転後の生活も含め、地域の協力があって、県外移転により再建した。