中央畜産会

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令和2年 年頭所感 「はじまりの年、国際化への対応に向け新たな舵を切る1年に」

2020/01/01

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 令和最初の新年のごあいさつを謹んで申し上げます。

 はじめに、昨年は台風など自然災害が全国各地に甚大な被害をもたらしました。特に10月の台風15号、19号の影響は大きく、農林水産業への被害額は4000億円を上回る大きな被害となりました。被災された皆さまに心よりお見舞いを申し上げます。

 まず、国際関係については、一昨年12月のTPP11の発効に続き、昨年2月1日に日EU経済連携協定(EPA)が発効、また本年1月1日には日米貿易協定が発効いたしました。日米貿易協定における畜産物の輸入関税は、TPPとほぼ同内容での削減となり、一方、米国向け牛肉輸出については、6万5000tあまりの複数国枠へのアクセスとなり、大きく拡大されました。

 政府は、このような国際環境を踏まえ、「総合的なTPP等関連政策大綱」を改訂し、新たに和牛・乳用牛の増頭・増産、中小規模・家族経営を中心に畜産クラスター事業の要件緩和等の対策を講じることとしました。

 中央畜産会としましても、家族経営の振興にも十分配慮し、協定発効に伴う畜産関係者の不安・懸念の払拭に努めるとともに、本会が基金管理団体である畜産クラスター事業をはじめ、畜産ICT事業・楽酪GO事業など各種事業を適切に執行することにより、経営体質強化や経営安定に向けて、地方会員、中央会員をはじめとする関係団体とも協力しながら取り組んでまいる所存であります。

 畜産物の輸出につきましては、牛肉では目標としていた輸出額250億円を達成するなど着実に増加しています。この実績をもとに、2030年に向けた新たな目標の達成に寄与すべく、関係各位と連携して活動してまいります。

 また、国内の畜産・酪農をめぐる情勢を顧みますと、平成30年9月に、26年ぶりにCSF(豚コレラ)が発生し、また、中国や朝鮮半島ではASF(アフリカ豚コレラ)の発生地域の拡大が続いています。政府はCSFへの対応として、昨年10月15日に「CSFに関する特定家畜伝染病防疫指針」を改正し、現在はCSFワクチン接種を推奨地域20都府県で実施しているところです。また11月18日からはワクチンを接種した豚肉の出荷も始まりましたが、ワクチン接種の影響は見られません。

 本会といたしましても、飼養衛生管理基準の周知の徹底、農場HACCPや生産者自身が行う地域自衛防疫への取り組み推進など飼養衛生管理の強化、畜産物の安全性の向上に向けた取り組みに尽力する所存です。

 さらに本年3月には新たな「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」および「家畜改良増殖目標」が策定されます。令和の時代にふさわしいものとなり、畜産の振興に寄与するものとなることを期待しているところです。

 今年も畜産経営にとって解決すべき課題は多く、中央畜産会は、道府県畜産協会等の会員各位とともに、将来の畜産の中枢を担う家族経営をはじめとした畜産経営への支援のための経営指導を基本に、家畜防疫・衛生対策、畜特資金などの畜産経営の経営改善のための経営資金対策、幅広い情報提供などに積極的に取り組んでいく所存であります。わが国畜産の安定的成長に貢献するべく、皆さまのご期待に応えられるようなお一層の努力をしてまいりますので、旧年に倍するご支援をお願い申し上げます。

 最後になりましたが、CSFに明け暮れた亥年は終わり、本年の干支である「はじまりの年」の子は、「行動力」と「財」の象徴とされています。元号も「平成」から「令和」に変わり、初の年賀を迎えました。今年は第15回全日本ホルスタイン共進会が九州沖縄各県の共同で宮崎県都城市にて開催されます。また、東京オリンピック・パラリンピックが開催されるため世界からも注目されており、国内の農畜産物消費に大きく貢献し国内の経済を盛り上げていくとともに、人・物の流通が激しくなると家畜防疫も正念場を迎えます。国全体が一致協力してわが国の畜産推進のため、十分な家畜防疫対応をはじめさまざまな対策を進めていかなければなりません。

 十二支のはじまりの新しい年に皆様のご健勝とご活躍、わが国の畜産のさらなる発展を祈念いたしまして年頭のあいさつといたします。

令和二年一月一日
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