中央畜産会

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【年頭所感】勇気・冒険の象徴である亥にあやかり さらなる発展を遂げる1年に

2019/01/01

年頭所感

勇気・冒険の象徴である亥にあやかり
さらなる発展を遂げる1年に

moriyama

謹んで新年のあいさつを申し上げます。

まず、国際関係については、TPP11が去る12月30日に発効に至りました。また、日EU経済連携協定(EPA)も本年早々に発効すると見込まれており、これらが日本の畜産に与える影響を的確に捉え、いつでも最善の対応ができるよう万全の準備をする必要があります。

このため、農林水産省は、畜産クラスター事業や楽酪事業の一層の推進により生産基盤を強化するとともに、牛・豚マルキンについて補てん率の引き上げおよび豚マルキンの国庫負担割合の引き上げ、さらに肉用子牛保証基準価格の見直しといった対策を講じています。

中央畜産会としましても、TPP11や日EU・EPA協定発効に伴う畜産関係者の不安・懸念の払拭に努力するとともに、本会が基金管理団体を務める畜産クラスター事業をはじめ楽酪事業など各種事業を適切に執行することにより、経営体質強化や経営安定に向けて、地方会員、中央会員をはじめとする関係団体とも協力しながら取り組んでまいる所存であります。

また、昨年9月26日のニューヨークにおける日米首脳会談により、日米2国間の物品貿易協定(TAG)の交渉が開始されることが決まりました。具体的な交渉は、大統領貿易交渉権限(TPA)の関係から本年1月中旬からのスタートになります。わが国農業・畜産の生産基盤が堅持されるよう揺るぎない意志をもって交渉を進めなければなりません。

さて、昨年の畜産・酪農をめぐる情勢を顧みますと、乳用牛の飼養頭数が16年ぶりに増加に転じるとともに、肉用牛については繁殖牛の飼養頭数が平成27年を底に3年連続で増加するなど、生産基盤に回復の兆しが見えてきました。

一方、畜産物価格については、牛枝肉価格は価格高騰の反動もあり、平成29年以降はやや低下傾向となり、それに伴い肉用子牛価格も低下傾向にあるものの、依然高い水準になっています。豚枝肉価格は、7月以降は猛暑の影響による出荷頭数の減少等から高水準で推移していましたが、9月以降は低下傾向となっています。他方、鶏肉価格は、生産拡大が続いていますが、29年度をやや下回る水準で推移し、また、鶏卵卸売価格は年初から低迷し、5年ぶりに成鶏更新・空舎延長事業の発動に至りました。

今年も畜産経営にとって解決すべき課題は山積しています。中央畜産会は、道府県畜産協会等の会員各位とともに、畜産経営への支援のための経営指導を基本に、家畜防疫・衛生対策事業、畜特資金をはじめとした畜産経営の経営改善のための経営資金対策事業、幅広い情報提供事業、輸出促進事業などに積極的に取り組んでまいります。

家畜衛生関係では、9月には岐阜県で26年ぶりに豚コレラが発生、また、中央ヨーロッパや中国ではアフリカ豚コレラの発生地域の拡大が続いています。とりわけアフリカ豚コレラは口蹄疫と並び恐れられている家畜疾病であり、水際での防疫対策に加え、農場段階での衛生管理の徹底が求められています。本会といたしましても、家畜飼養衛生管理基準の周知の徹底と、農場HACCPや生産者自身が行う地域自衛防疫取組促進対策事業の一層の推進をはじめとした飼養衛生管理の強化に向け、関係者の皆さまとともに全力を尽くしてまいる所存です。

また、畜産物の輸出については本年の農林水産物・食品の輸出額1兆円目標の達成に寄与すべく、本会が事務局を務めている日本畜産物輸出促進協議会とともに、牛肉をはじめとした畜産物の輸出拡大に向けて関係各位と連携して活動してまいります。

中央畜産会はわが国畜産の安定的成長に貢献するべく、皆さまのご期待に応えられるよう、一層の努力をしてまいりますので、旧年に倍するご支援をお願い申し上げます。

最後になりましたが、昨年は度重なる豪雨や、9月6日に発生した北海道胆振東部地震等多くの災害が発生し、被災された皆さまにお見舞いを申し上げるとともに、本会といたしましても、被災された皆さまが今後も畜産業に対する希望を失わず、前向きに復旧・復興に取り組まれますよう、全力で支援してまいる所存です。

本年の干支である亥は「勇気」と「冒険」の象徴とされています。これにあやかり、攻めの姿勢でわが国の畜産がさらなる発展を遂げることを期待する次第であり、皆さまのご健勝とご活躍を祈念いたしまして年頭のあいさつといたします。