海外畜産事情研修
2026/10/15
10月5日から海外畜産事情研修会が始まりました。
出発前日の10月4日に海外畜産事情研修第3回事前研修を行い、調査先の最終確認や日程・役割分担の確認を行いました。また、本日ミュンヘン空港到着後、池田コーディネーターおよび泉アシスタントより、視察概要、注意点等のレクチャーを受けました。
研修生7名とアドバイザー1名の8名でドイツ、オーストリア、チェコの3か国を2週間かけてまわり、ヨーロッパの最新の畜産事情等について学びます。
公益社団法人熊本県畜産協会 永野 浩二
羽田空港から出発
ミュンヘン空港到着
事業名 :畜産経営技術指導事業
所管部署:管理部(企画調整)
活動日 :令和8年10月5日
海外研修2日目はドイツ南部バイエルン州で有機酪農と営農型ソーラー等に取り組む複合経営体を訪問し、酪農経営者とソーラーの設置、管理を担うエネルギー協同組合の方から実際の農場を調査しながらお話を伺いました。
同経営ではドイツの主な有機農業団体のNaturland認証を取得し、夜間放牧や暑い時期の分娩を避けるなど牛だけでなく飼養管理する人の負担軽減も図られていました。また、ソーラーパネルの設置は市民が出資し配当を受ける仕組みとなっており、地域のエネルギー事業を他人事ではなく自分たちのソーラーと捉え主体的に関わっているとのことでした。
一般社団法人岩手県畜産協会 山﨑 里美
経営主と協同組合講師を囲んでの集合写真
ソーラーパネルの下での質問風景
事業名 :畜産経営技術指導事業
所管部署:管理部(企画調整)
活動日 :令和8年10月6日
海外研修3日目は、昨日に引き続きドイツ南部バイエルン州で有機酪農と自家発電によるエネルギーの自給化に取り組む個人経営体を訪問し、酪農経営者の方から実際に農場内を調査しながらお話を伺いました。
同経営では10年の歳月をかけて、施設・機械の整備を進め、今では年間を通じて70%を自給するまでに至りました。経営主はエンジニアでもあり、施設の構造や機械の試験開発等にも携わり、技術的な裏付けの元、先進的な取り組みを実践しています。
また、有機酪農にも関わらず、個体乳量10.000kg、平均産次は10産程度と非常に優秀な成績であり、これには後継者である息子さんがプロフェッショナルに取り組んでいることによるものとの事でした。
一般社団法人北海道酪農畜産協会 入江 徹
牛舎2階の観察スペースからの眺め
電気作業車について説明を受ける一同
集合写真
事業名 :畜産経営技術指導事業
所管部署:管理部(企画調整)
活動日 :令和8年10月7日
海外研修4日目の午前中は、ドイツ・バイエルン州の「食料・農業・林業・観光省」を訪問し、農業事業体に対するコンサルティングの取組みや、バイエルン州の畜産業について説明を受けました。
同省のエネルギー政策、GAP、国際交流担当官から挨拶をいただいた後、農業事業体へのコンサルティング組織とそのサービス内容について学びました。また、バイエルン州の畜産業、特に牛を中心とした畜産について説明を受け、ドイツにおける農業・畜産を取り巻く支援の仕組みについて理解を深めました。
午後はバイエルン州直営の受精ステーションと農業研究教育農場を調査しました。
受精ステーションでは農家のニーズにあった品種改良と製品製造販売しており、現在は牛と人の安全性を高めた無角のフレックスフィー種が最も利用されているとのことでした。
畜産研究教育農場では最新機械や様々な形の畜舎を用いて牛の快適性や生産性を研究し、それを広く教育の場として研修や視察を受け入れることで、農家がそれぞれの経営を改善するアイディアを得る場としているとのことでした。
公益社団法人群馬県畜産協会 齋藤 克哉
一般社団法人岩手県畜産協会 山﨑 里美
食料・農業・林業・観光省集合写真
食料・農業・林業・観光省のレクチャーの様子
1番人気のフレックスフィー種雄牛
受精ステーションにて
事業名 :畜産経営技術指導事業
所管部署:管理部(企画調整)
活動日 :令和8年10月8日
海外研修5日目は、オーストリア・チロル地方にある家族経営のチーズ工房を訪問し、こだわりのチーズやその製造方法についてお話を伺いました。
この工房では、1日に1,500リットルのミルクをチーズに加工しており、原料となるミルクは、サイレージを使わず干し草のみを与えて飼育した牛から搾られた、最高品質のものになります。
また特徴的な取り組みとして、山岳地域では珍しいカマンベールチーズを製造することでニッチな需要を取り込んでいます。
さらに、看板商品である「Großer Stinker」と「Kleiner Stinker」の2種類のチーズは、これまで数々のチーズコンテストで受賞歴があります。実際に試食したところ、干し草の香りがしっかりと感じらる、美味しいチーズでした。
地方競馬全国協会 中村 貴一
チーズ工房の経営主から説明を受ける様子
チーズの試食
チーズ工房前での集合写真
事業名 :畜産経営技術指導事業
所管部署:管理部(企画調整)
活動日 :令和8年10月9日
2日オフを挟み、海外研修8日目の午前中は、オーストリア・シュタイヤーマルク州南東地区を管轄する「地区農林業会議所」を訪問し、農業技師のAnton Koller氏から、養鶏業における営農型ソーラーの取組について説明を受けました。
オーストリアにおける営農型ソーラーは、農業生産と太陽光発電を両立させ、限られた土地を有効活用する取組です。
太陽光パネルが鶏の休息場所となる日陰を提供するほか、鶏が屋外の放牧地を広く利用することで、ふんによる土壌への影響を軽減する効果も期待されています。また、EUで重視される生物多様性の保全にも配慮しながら、飼養環境の向上と再生可能エネルギーの活用を両立させる取組について理解を深めることができました。
午後は営農型ソーラーに取り組む採卵鶏農家とAMA認証の肉用鶏農家を調査しました。採卵鶏農家では出資会社に農地を貸し出すことで賃借料収入が入るうえ、パネル下を日陰のある放牧地として活用していました。
小規模な飼養羽数でありながら、穀物を100%自給して自家配合することでコストを抑え、直売所での販売や市場価値の高い卵を生産することで所得を確保されていました。
肉用鶏農家では自動給餌器などのオートメーションに加え、バイオマスを利用した床暖房や野外の自然光が入るウィンターガーデンを整備し、生産効率と鶏の快適性に配慮した飼養環境を整えていました。
公益社団法人群馬県畜産協会 齋藤 克哉
公益社団法人熊本県畜産協会 永野 浩二
地区農林業会議所のレクチャーの様子
会議所職員との集合写真(直売所にて)
営農型ソーラーで採卵鶏を放牧
AMA認証の肉用鶏
鶏舎に併設するウィンターガーデン
事業名 :畜産経営技術指導事業
所管部署:管理部(企画調整)
活動日 :令和8年10月12日
研修9日目はオーストリア、アムシュテッテン郡にある養豚農家を訪問しました。
午前中は2025年に新設された豚舎の設備や飼養方法について説明を受けました。同農場は去勢時は全身麻酔、断尾は実施せず、1頭あたりのスペースが国の基準の2倍を確保し、AMA認証にプラスAW100という認証を取得されています。
午後は、AMAマーケティング担当者からAMA認証の概要について説明を受けました。消費者の認知度90%。認知されることが重要という考えのもと広報活動に予算をつけて消費者向けに活動されていることが印象的でした。
公益社団法人山梨県畜産協会 古屋 康子
豚舎にて説明を受ける様子
敷きワラを背景に集合写真
認証について説明を受ける様子
養豚農家とAMA担当者との集合写真
事業名 :畜産経営技術指導事業
所管部署:管理部(企画調整)
活動日 :令和8年10月13日
海外研修10日目の午前中は、チェコ中部のヴィソチナ州にあるチェコ最大級の酪農経営を訪問し、農業エンジニアより説明を受けつつ実際に農場を調査しました。同経営は、搾乳牛1,150等を飼養し、ロータリー式搾乳ロボットでの搾乳や干し草やデントコーン生産(1,200ha)、ふん尿を活用したバイオガス発電・売電等を実施していました。
午後は、チェコ・パルドゥビツェ州でフランスの品種であるブロンドダキテーヌ種の繁殖経営をしている農家を訪問し、経営主より品種の特徴や飼養管理技術等について調査しました。繁殖雌牛は30頭で、育種用の雄牛を生産し、15か月齢でチェコ国内外のバイヤーへ販売(約100万円)しており、今後も優良な牛づくりをしていきたいと述べていました。
公益社団法人中央畜産会 押切 美華
搾乳ロボットでの搾乳の様子
農場職員との集合写真
ブロンドダキテーヌ種の母牛
集合写真
事業名 :畜産経営技術指導事業
所管部署:管理部(企画調整)
活動日 :令和8年10月14日
海外研修11日目、研修最終日の今日はチェコ農業省を訪問し、チェコにおける畜産業の現状や補助金制度、暑熱対策について説明を受けました。また、日本の畜産業にも大変興味を持たれ、当団の永野団長より、先方へ日本の畜産情勢を説明させていただきました。
これにて予定していた研修を全て無事に終了することができました。
明日はいよいよ、ミュンヘン空港より日本に帰国します。
一般社団法人北海道酪農畜産協会 入江 徹
団長による説明
チェコ農業省による説明
集合写真
事業名 :畜産経営技術指導事業
所管部署:管理部(企画調整)
活動日 :令和8年10月15日


