海外畜産事情研修
2024/10/17
令和6年10月7日から海外畜産事情研修会が始まりました。2週間、研修生7名とアドバイザー1名の8名でオーストリア、イタリア、スイスの3か国をまわり、ヨーロッパの最新の畜産事情や支援組織、農業教育制度について学びます。
海外研修2日目はオーストリアでチーズ工房と農業従事者教育研修施設(LFI)の視察を行いました。チーズ工房では、この地域特有の三段酪農の概要やチーズの製造方法、チーズの種類について学び、食べ比べの試食も体験しました。
LFIでは、農業会議所を拠点とした教育機関の概要や教育プログラム等を学び、手厚い農家支援について参考となる視察内容となりました。
海外研修3日目。本日はイタリア南チロル地域の農業コンサル組織「BRING」の調査を行いました。
「BRING」では南チロル地域の組合員である農家に対して、農業技術やコンサルティング等の支援を行っている組織です。
今回は特に乳牛の管理における蹄の重要性について説明を受けるとともに、削蹄を通じた経営改善の手法について理解を深めることができ、有意義な調査となりました。
海外研修4日目はあいにくの雨となり、イタリア南チロルの風光明媚な風景が見えなかったのが残念でしたが、高台にある農家2件(放牧養豚と生ベーコン生産 Oberstimpflerhof、酪農とチーズ工房 Lenkhof)と谷間の街中にある精肉加工店 Windegger社を調査視察しました。
いずれも南チロル産の認証を取ることで付加価値販売しており、観光業との融合による地域に根ざした活動が参考になりました。
海外研修5日目は、快晴の天候にも恵まれ、美しい風景の中でイタリア南チロル農業者専門教育訓練学校の「SALERN」の視察調査を行いました。
「SALERN」は、イタリアで中学校を卒業後に、3年間、農業における基本的な教育、実習を経て様々な職業に必要な資格等を取得する農業専門学校です。
学校長であるマルティン ウンタラー氏から学校の概要や、教育プログラム、校内の実習風景を案内していただき、日本との農業の価値観や、教育方法の違いに驚かされました。
最後に、食堂にて、学園内で育てた畜産物や、野菜などを学食としていただきました。
土日を挟み海外研修8日目となる10月14日は、午前にパルマハムの工場を視察しました。パルマハムの特徴は、骨付き豚モモ肉の丸ごと加工で、部位毎加工の通常ハムと比べ細やかな技術を要し、パルマハム協会による数回のチェックを受け安全で良質なハム生産をしています。
午後は、日本では少ない養羊農家を視察しました。ヨーロッパでは特に南の地域で羊を食べる文化があるそうです。草地を健康に保つために毎日牧区を変え、トレーニングされた牧羊犬とともに羊を飼育されており、養羊で重要なのは羊の観察だとの話に、他畜種と同様だと感じました。
海外研修9日目はイタリアパルマのチーズ工房サントステファノに伺い、イタリアチーズの王様と呼ばれるパルミジャーノレッジャーノの製造工程を調査しました。
このチーズはイタリア北部の一部の認められた地域だけで製造されるもので、マエストロカターレというチーズ作りの責任者のチェックと、伝統に基づき作られます。また認定機関(協会)が品質を確認し刻印及び製品識別管理も行われていました。
海外研修10日目。
本日はスイスの養鶏農家であるホーフ・アム・シュトゥッツを調査しました。
当該農家は採卵鶏と肉用鶏を合わせても飼養羽数が約1300羽と小規模で、近隣住民やレストラン向けに鶏肉、鶏卵、野菜等を販売しています。EUにおける認証制度にこだわらず、より鶏が過ごしやすい環境を自ら模索し構築しており、鶏への配慮を打ち出したブランディングが印象的でした。また、移動式鶏舎や放牧による飼育等、日本における飼養形態と大きく異なる手法が目を引きました。
研修最終日の11日目。スイス農民連(SBV)と乳肉複合経営の調査を行いました。
SBVでは、疾病対策、アニマルウェルフェア、品質保証について学びました。品質保証のための認証制度を作ることで、認証された食肉だけでなく、関連業界のイメージも上げることに寄与しています。法律より厳しい基準があることに驚きました。
乳肉複合経営では、乳用牛40頭、肉用牛30頭を1人で管理できるよう機械化により省力化している先進的な事例を調査することができました。
事業名 :畜産経営技術指導事業
所管部署:管理部(企画調整)
活動日 :令和6年10月7日〜17日