㈲大山牧場は、昭和63年にジャージー牛28頭を導入。大阪の乳業会社に出荷していたが、平成7年1月の阪神・淡路大震災を契機に生乳処理の多くを県外に依存することの危うさを感じ宅配を始めた。宅配部門での売上高は1,000万円を超えたが、その後、本業の酪農部門が手薄になり、経営全体の純利益が落ち込むことになる。しかし、地道な宅配部門の拡大によって、平成8年から香川県の大手デパートとの取引を開始。その過程で法人化も行った。宅配の拡大とともに自ら売ることを考え、アイスクリーム工房を建設し、開店。困難を乗り越え、県内の有名な洋菓子店3店との連携、プラントの設置、アーケードへの店舗出店などの取り組みを拡大させている。震災を契機として生乳出荷に係るリスクを軽減させ6次化路線を選択・拡大してきた当該経営。6次化という言葉がない時代に先進的に挑戦した実施手順とそのポイントは、現在も十分参考になるモデルである。