経営主の広野氏は地元JAに就職したのち、経産牛20頭で新規参入を果たした。直後に生乳の生産調整が始まり、経営状態は厳しくなるが、労働収益性の追求を第一に考え、効果的な投資とアウトソーシング化を図りながら徐々に規模拡大し、現在は経産牛260頭で、高い経営成績を収めている。育成牛は外部からの導入、飼料は全量購入(TMR)であるが、経営主は外部化により入手できる情報を重視している。例えば、飼料会社に乳量や乳質、繁殖成績、病気等のデータを提供してフィードバックし、牧場の状態にあったTMRを共同で研究し調製してもらっている。また、経営主は農業委員を務めるなど地域の担い手の育成においても重要な役割を果たしている。平成20年には地元の花卉農家といちご農家らと出資して、耕作放棄地に観光農園「森のいちご」を設立し、年間2万人が来場するようになった。昨年12月には農園の敷地内に自身の生乳を使ったジェラートショップ「森のジェラテリアMUCCA」を立ち上げた。