㈱南勢養鶏は、三重県南部の過疎地域で成鶏約20万羽を飼育する大規模採卵経営である。従来から地域住民を優先雇用するなど地域社会に貢献し、地域行政とも良好な関係を築いてきた。鳥インフルエンザが発生したが、作成していた対応マニュアルの内容が衛生意識の高い従業員に周知され、模擬訓練も実施されていたこと、異常鶏の発見早々に家畜保健衛生所に通報したことなどがスムーズな経営復興につながった。また、万が一の発生に備えた鶏卵供給ネットワークの活用や仮営業所の確保により取引先に対し普段と変わらない販売活動を継続させることができた。発生後、再発防止のために鶏舎を再点検し改修を行うとともに、経営再開と並行して防疫に対する姿勢や緊急時の対応等について各地での講演や畜産専門誌への寄稿を通じて、関係者へ情報を提供し、防疫意識の向上、生産者同士のつながりの強化および問題意識の共有につなげた。