繁殖のプロとして奔走する毎日
神奈川県相模原市で家畜人工授精所を運営する亀井康子さんは、「わたしたちの仕事は、酪農家さんが求める牛を、酪農家さんと一緒になってつくることです」と話します。北は東京都あきる野市、南は神奈川県海老名市まで約50kmのエリアにある20軒ほどの農家の依頼を受け、奔走する毎日です。
牛の発情を発見した農家から電話が入ると、半日後に農場を訪問します。発情の状態や体調を見極め、授精適期と判断したら、どの精液を注入するか畜主と相談。車に積まれた液体窒素ボンベの中から凍結精液の入ったストローを取り出して融解し、注入器に装填して授精作業をします。その後、1頭ごとに作成されたカルテに記録を書き込みます。カルテは亀井さんのオリジナルで、人工授精や受精卵移植、出産の履歴などが記され、その牛の繁殖状況が一目で分かるものです。農家、獣医、人工授精師が情報を共有し、繁殖管理に役立てています。