当該経営は、生産部門の㈲宮崎第一ファームが銘柄豚「あじ豚」の生産、加工・販売・直営部門の㈱フレッシュワンが直売所「ゲシュマック」を立ち上げ順調に経営拡大を続けてきた。その成果が認められ、平成21年度農林水産祭で天皇杯を受賞した。ところが平成22年5月に口蹄疫が発生し、全家畜を殺処分することになる。家畜導入・経営再開にあたっては、今までにない事故の多発など「オール初産」の厳しさを経験したが、5〜6産を越える頃からようやく落ち着いてきた。その際、経営再開にあたって、適正頭数の吟味を技術面、経営面から行ったことが特筆すべきである。また、「新生養豚プロジェクト協議会」のメンバーとなり、オーエスキ病、PRRSフリーの地域の構築に取り組んでいる。併せて、信用力や直販比率の向上など、6次産業化にあたっての留意点を改めて確認した。口蹄疫を経験して、これまでの経営の実情とリスクを再確認するとともに、地域全体でみた畜産経営のあり方も指摘している事例である。