久井高原牧場の新舎氏は、廃業寸前の経産牛60頭規模の酪農経営を第三者継承した。経営を移譲する者と譲り受ける者のマッチングや継承する資産の特定など、関係者による支援を受け課題をクリアーし、合同会社を短期間で設立し継承した。経営譲渡にあたり、市や県、畜産協会に対して支援を依頼し、畜産協会がリードする形で関係機関で協議会を組織し経営移譲の準備を進め、経営形態や資金対応、買収時期などの検討を行い、平成20年9月に合同会社を設立、翌年3月に借入が実行され買収となった。自らが、経営者になることで、飼料メーカーや自家配合給与メニューの変更、雌雄判別精液の活用等多くの改善策を実現。また地域の耕畜連携も強化された。合同会社はその設立及び設立後の法人運営が非常にシンプルで、社員1名での設立も可能。株式会社や農事組合法人のように発起人や公証人による定款認証も不要で、かつ法人設立までの事務手続きが簡素で時間が大幅に節約できる。金融機関から融資を受ける際にも、株式会社等と同様の条件で、今後、経営を継承する際の一つのモデルである。