岡山県津山市宮部上地区は、貴重な環境を残す一方、耕作放棄地・限界集落(県では、小規模高齢化集落)といった言葉が背中合わせに存在する。多くの中山間地域が、高齢化や農家の担い手不足などにより同様な問題を抱えている。そんな中、地域外で農業以外の分野で活躍していた夫婦が、県が実施している肉用牛入門講座を受講し、基礎知識の習得や先進農家での実習などを経て、新たに和牛繁殖経営を開始した。現在は繁殖雌牛5頭を放牧中心で飼養。また、夫妻は地域の酪農家や若手耕種農家に呼びかけて、平成22年4月に宮部里山農耕組合を設立。「農業で地域を元気に」を合い言葉に経営主自身が組合長を務めて、放牧や自給飼料生産により耕作放棄地の解消などに取り組んでいる。この活動をきっかけに、地域での存在感が高まり、近隣住民とのふれあいの輪も広がっており、地域再生の足がかりを築いている。