BSEの発生、その後の子牛価格や牛肉価格が大暴落し経営が危機に陥る中、肉用牛経営の安定と将来性を考え、埼玉県産ブランド牛肉「武州和牛」の歩みが始まる。代表の塚田正行氏が中心となり、強力なリーダーシップと豊かな経験と知識、そして何よりも地域の仲間から絶大な信頼を得て、ブランド化に取り組んだ。活動当初、組合員は乳雄肥育・交雑種・和牛とさまざまであり、飼養管理上の共通項目も少なかった。ブランドとしてゼロの状態から「形あるもの」に築き上げ、和牛で統一、地域に根付き、さらに東京食肉市場への上場も果たすブランドに成長した。トウモロコシや麦などをブレンドした武州和牛オリジナルの配合飼料を共通して使用し、さらに各組合員が独自の工夫をプラスして肉質の向上に努めている。現在、組合員農家は20戸、合計飼育頭数は黒毛和牛約7,000頭で、年間出荷頭数は約2,500頭。それぞれの生産者の考えをまとめあげ、和牛統一飼養をけん引したリーダーシップ。その下でみんなが1つにまとまった「ゼロ」からの「造形」は注目すべきである。