繁殖雌牛15頭、肥育牛35頭、子牛10頭を飼養している尾谷重光さんは、後継者がなく、一昨年に体調を崩したこともあって経営を親族以外の者に譲っても良いと考えた。近隣の牧場に勤務していた田中克寛さんを念頭に県姶良・伊佐地域振興局に相談した。振興局では両氏に「農業経営継承事業」を紹介するとともに、両者の意思を確認して市、JA等からなるコーディネートチームを発足させ、同事業による1年間の研修を実施した。研修終了後は共同経営の形態をとり(形式的には譲受者は従業員)、平成28年7月に経営を第三者継承することで合意した。第三者継承の大きな特徴は、移譲者の技術、経営方針を引き継ぐ点にある。田中さんもこの点をよく理解しており、尾谷さんの「無理な投資は避け、質で勝負する手堅い経営」や「水田・耕作放棄地を利用した地域貢献」についても継承。今後は、4年間の共同経営の期間にさらなる技術等の習得を行い、資産の譲渡等の検討を行う予定である。