黒木牧場は宮崎県西都市で肉用牛肥育経営を行っている。平成22年5月20日、市で最も早く口蹄疫の疑似患畜を発見し、家畜保健衛生所に通報した。その後、畜舎にいた198頭を全頭処分された。経営主の黒木輝也さんは40年間費やしてきたことが一瞬にして失われるショックから、殺処分の現場に立ち会うことができず、処分後2ヵ月はまったく仕事が手につかない状態だった。その後、近隣農家等の仲間からの励ましもあり、経営再開を決意。平成23年1月に畜舎を消毒して導入を始め、平成24年10月に長崎県で行われた第10回全国和牛能力共進会の7区(総合評価群)で優等首席に輝いた。この快挙により、被害で疲弊した地域畜産に再び活力を与える起爆剤的役割を果たしている。経営再開に至る過程で、個人的な努力はもちろんのこと、地域自体での復興力も示された事例である。