東京で土木設計の仕事に従事していた秦さんは、夫人の実家に戻り、肉用牛肥育経営を手伝う中で肉用牛の肥育技術と肥育素牛導入のポイントを体得する。その後、平成14年に農業開発公社からのリース事業で農地を取得し独立した。独立当初は乳雄肥育が主体で、回転が速く、販売差益も有利な状況が続き、所得の確保、順調な負債の償還につながった。現在は、和牛一貫経営に転換し、繁殖雌牛36頭、肥育牛105頭(外部導入含む)を飼養している。離農跡地の確保をはじめ自給飼料生産組合、飼料混合施設利用組合を活用するなどJAから多くの支援を受けているが、本人の肉用牛経営にかける真摯な態度が、その支援を実現させた。全くの異業種でありながら、短期間で肉用牛の固有の技術を習得し、地域に定着し、安定した経営を構築している点に、Iターンを目指す後進に対する多くの教訓が含まれている。