大﨑貞伸さんは平成19年1月、結婚を契機に宮崎県西都市に帰郷し、肉用牛肥育経営の後継者として就農した。平成20年に経営主となり、翌年には牛舎を増築し規模拡大を図っていた。就農当時から地域の先輩生産者に牛飼いの技術を学び、日ごろから「自分は大﨑牧場の後継者ではなく、地域の後継者である」という気持ちを抱いていた。その矢先、口蹄疫の感染拡大に遭い、当農場では肥育牛全頭(157頭)が殺処分された。殺処分後は、他農家の殺処分を手伝うなど、自らできることを率先して取り組み、終息宣言後は、地域の安全性確認のために観察牛の導入を行った。「自分が経営再開することが、地域の生産者の経営再開につながる」との強い思いから、9月30日に肥育素牛8頭を導入して経営を再開。現在では、口蹄疫発生以前からの目標であった180頭を達成し、地域の肥育農家や繁殖農家と積極的に交流し、地域の後継者として活躍している。