臼井さんは、河川敷草地を利用し牧草生産を行ってきたが、水田地帯の立地条件から地域営農集団と連携して稲WCSや飼料用米の生産や利用を拡大し、高品質な地域産飼料の安定的確保を図っている。さらに和牛ETや飼料用米などの収益性を見越した新技術を導入するとともに資金の内部留保に努め、無借金の安定した優良な経営を継続している。河川敷草地や稲WCS、飼料用米や豆腐かす等の地域飼料資源を活用し、飼料基盤に立脚した経営に努めることで、輸入飼料に頼らない足腰の強い酪農経営を実践している。また、大家畜では取扱いが困難であった籾米の活用についても、自ら破砕システムを考案し実践。経産牛65頭に毎日2t弱のTMRを作るが、トウモロコシの代替として飼料用米を300kg混合している。この結果、1年間の飼料費は200万円ほど節約できている。東北地方は米の産地であり、営農集団との連携は可能であろう。畜産サイドは国産粗飼料を安定的に確保でき、輸入粗飼料の価格に左右されない地域畜産が確立できる。