ヨーロッパ畜産、見て、聞いて、触れて(6)

梶 尾 規 一



<ガラス張りの生産>

 最近、消費者意識の高揚により、品質の高い畜産物に対する要求が高まっています。こうした中、地域の特産品をPRしていくうえで、いかにマーケッティングしていくかが問われています。


写真-1 農場の開放デーでの道案内(その1


 消費者にアピールするために、買う気になってもらうことがまず第一で、次に購入してよかったと感じてもらう、いってみれば2倍おいしいものづくりが必要でしょう。
 今回は、ドイツ中部のバーデン・ビュルテンベルク州における消費者対策の一環として安全性を
PRするために実施されている施策を紹介します。


写真-2 農場の開放デーでの道案内(その2


 それがタイトルにあるように「ガラス張りの生産」プロジェクトで、農場の開放デーを定め、消費者に生産現場をつぶさに見てもらうイベントです。このプロジェクトは州の食糧農業省の指導で1990年以来、各種の農産物に対し取り組んできましたが、今回、牛肉について同州の50ヵ所の農業環境保全局
(ALLB)すべてで実施しました。訪問先のルートビィックスブルクALLBでは夏期に15回実施し、1日当たり2,000〜4,000人の訪問者がありました。


写真-3 安全性や家畜の飼料に関する掲示



写真-4 安全性や家畜の飼料に関する掲示


 イベントはチラシ、新聞、ラジオで宣伝し、当日は写真―1、2のような道案内を出したり、農場には写真―3、4のような安全性や家畜の飼料に関する掲示などを行い、また、
ALLBの職員が協力して消費者の質問に答えたりします。農場ではなんといっても狂牛病のおそれがないことを理解してもらうとともに、飲食物を原価で提供したり、子供のためのクイズやアトラクションで来場者を飽きさせない工夫をしています。 一方、農畜産物の生産地と品質を保証し、消費拡大に資する手段として写真−5に示す「HQZ」マーク(右下の3頭の獅子の付いているマーク:州のマーク)があります。このマークの表示に当たっては、生産者だけでなく販売店も州もライセンス契約を結び、州は認定証を発行し奨励していますが、契約の履行に際し、審査機構を設置し監視を行っています。牛の場合には、飼養方法や資料について一定の基準に従い(成長ホルモン、発育促進剤、抗生物質は使用禁止)、解体後の肉質検査も行われます。また、販売店がこのマークを偽って表示することは禁じられています。
 「ガラス張りの生産」や「
HQZ」マークなどにより生産から、加工、流通、消費にいたるいわゆる川上から川下までの一貫した体制が整えられていますが、とりわけ狂牛病の影響の大きい時期だけに、安全性を確保し、PRする点で効果が大きいものと思われます。


写真-5 「HQZ」マーク(右下の3頭の獅子が付いている)

 

 

ヨーロッパ畜産、見て、聞いて、触れて(7)へつづく

(報告者:静岡県中部農林事務所畜産振興課長)


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