(2)北海道
 表1-11は収益性に関する北海道(草地依存型)の指標を頭数規模別に示したものである。これによると経産牛1頭当たりの産乳量は、多くの階層が7,000s台の水準にある。しかし、10〜20頭層は9,431sと突出して高く、逆に、20〜30頭層は6,218sに止まっている。10〜20頭層は集計対象農家が1件であることから例外的な数値とみておかねばならない。30〜40頭以上の各階層は概ね7,700〜7,800sのあたりに分布している。経産牛1頭当たりの牛乳販売収入は、当然のことながらそうした産乳量水準の動向を反映したものとなっている。
 経産牛1頭当たりの購入飼料費は、10〜20頭層を例外とすれば、60頭以上層の22.2万円が最大で、最小は20〜30頭層の12.1万円である。
 乳飼比は10〜20頭層を除くと、60頭以上層の38.4%が最も高く、20〜30頭層が25.4%と最小であるが、その他の階層では概ね35%前後の数値となっている。
 経産牛1頭当たりの年間経常所得は、最も高いのが50〜60頭層の18.2万円、最も低いのが60頭以上層の10.7万円であるが、階層間のばらつきがあり明瞭な傾向は読みとれない。しかし、家族労働力1人当たりの年間経常所得は、40〜50頭層、50〜60頭層の両階層で300万円台を実現しており、概ね多頭飼養層で高まる傾向をみせている。表1-12でみるように、経産牛1頭当たりの年間労働時間が、60頭以上層では93時間であり、集計件数の多い30〜40頭層の155時間と比べてもおよそ60%程度で済んでいる。このため、労働力1人当たりの経産牛飼養頭数が、60頭以上層の24.8頭に対して、30〜40頭層では16.0頭と大きな開きとなっている。大規模層での労働生産性の高さがうかがえる。

表1−11 経営収益性その他関連指標の規模別比較(北海道・草地依存型)

項 目

全体
1〜10頭 10〜20 20〜30 30〜40 40〜50 50〜60 60〜

経産牛1頭当り年間経常所得(円)

152,023

-

158,594

168,213

153,501

181,793

182,055

107,360

家族労働力1人当り年間経常所得(千円)

2,770

-

2,393

2,008

2,382

3,060

3,049

2,714

経産牛1頭当り年間産乳量(kg)

7,701

-

9,431

6,218

7,880

7,691

7,730

7,802

経産牛1頭当り牛乳販売収入(円)

569,970

-

676,945

454,032

581,414

564,762

581,061

578,456

経産牛1頭当り年間売上高(円)

657,883

-

737,966

604,412

665,590

643,136

672,086

663,464

経産牛1頭当り購入飼料費(円)

201,309

-

283,563

120,832

207,811

194,108

188,381

222,449

経産牛1頭当り自給飼料費(円)

43,915

-

17,852

26,698

62,076

45,630

45,123

37,937

乳 飼 比(%)

35.1

-

41.9

25.4

35.4

34.5

32.6

38.4

経産牛1頭当り建物施設・機器具・車輌減価償却費(円)

56,312

-

37,822

46,336

63,780

49,813

57,530

59,875

所 得 率(%)

23.1

-

21.5

27.6

23.7

27.6

26.9

16.2

表1−12 労働生産性の規模別比較(北海道・草地依存型)

(単位:頭、時間)

項 目
全体 1〜10頭 10〜20 20〜30 30〜40 40〜50 50〜60 60〜

労働力1人当り経産牛飼養頭数

18.8

-

15.1

11.9

16.0

16.5

16.4

24.8

経産牛1頭当り年間労働時間

128

-

142

190

155

135

138

93

経産牛1頭当り年間飼養管理労働時間

115

-

133

170

138

122

122

84

飼料生産延べ10a当り労働時間

1.6

-

2.3

1.6

1.6

1.4

1.9

1.4


  

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