(2) 平成6年度以降の収益性の回復傾向について
 平成6年度以降の収益性は回復傾向にあり、平成7年度には「営業利益」が30,264円、「経常利益」が24,681円、「経常所得」64,663円にまでいったんは回復した。その後平成8年には「売上高」の落ち込みを要因とする収益性の落ち込み傾向が確認できるが、平成9年には「売上高」の回復に伴って収益性は回復傾向を示し、「営業利益」が12,946円、「経常利益」が6,483円、「経常所得」が41,991円となった。
 図7は肉用種の去勢若齢肥育経営における当期生産費用の内訳を年次別に示したものである。これによると、平成5年度までは「もと畜費」の下落が継続したが、平成6年度からは「もと畜費」が反転、上昇している。しかし、平成6年度から「もと畜費」が上昇に転じたのに対し、平成元年度以降、平成7年度まで「生産費用合計」が一貫して下落を続けているのは、「もと畜費」の上昇部分を「購入飼料費」の下落分が吸収したからである。その後、「購入飼料費」の下落分以上に「もと畜費」が上昇しているため、平成8年度からは「生産費用合計」が上昇に転じている。
 しかしながら、「当期生産費用」の内訳に変化はみられるものの、およそ平成5年度以降は40万円台前半で推移しており「もと畜費」の動向以外に大きな変動要素はなくなっている。変動幅はあるが、「購入飼料費」はほぼ12万円前後、労働費は4万円前後で推移していることからみても、今後の収益性を左右する要因はむしろ、「売上高」の動向にかかっているといえよう。ところが平成6年度以降、肥育牛1頭当りの「売上高」も40万円後半で推移するにとどまっており、今後「売上高」の大幅な上昇が期待できる状況にはないだけに、「当期生産費用」の上昇如何によっては収益性の悪化に直結する状況にある。


図7:肉用種去勢若齢肥育経営における「生産費用」の推移


  

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