大吉牧場の牛舎内部
 大吉商店㈱は現社長(永谷武久さん)の曽祖父・大吉氏が牛馬の家畜商として明治29年に創業した老舗で、現社長は4代目。創業以来、時代の情勢に応じて生産農場、小売店、すき焼き店などを営むが、一貫しているのが「近江牛一筋」。武久社長は、近江牛の販路を首都圏の百貨店などに拡大するとともに、途切れていた生産部門を復活させた。平成15年設立の大吉牧場では約300頭の但馬系黒毛和牛を肥育する。地域の稲わらの活用など資源循環の取り組みをPRし消費者の信頼を獲得。食肉加工・販売部門の工場で滋賀県の衛生管理制度「S-HACCP」の認定に続き、農場HACCP推進農場の指定を受けた。川上から川下まで一貫した生産管理体制を敷くなかで、消費者に満足のいく「安全・安心」を確立する。このように「地域資源を生かした展開」を前面に出し、「品質」とともに消費者に訴求することは、海外、国内販売に関わらず消費者の理解醸成の方法の情報提供として普及性のある事例である。