バスに乗って牧場へ行こう!
畜産ふれあい・体験交流会

―栃木県今市市・大笹牧場―


 平成11年7月に公布施行された「食料・農業・農村基本法」では、食料の安定供給の確保が大きな理念として掲げられるとともに食料消費に関する施策の充実が明記され、今後は消費者と農業の結びつきの強化を農林水産省全体で取組むこととしている。

 そこで、農林水産省関東農政局と(社)中央畜産会が共催で、首都圏の消費者親子を対象に栃木県大笹牧場で開催した、緑空間の中で家畜とふれあい、美味しい畜産物を食し、また酪農婦人部の方々と意見交換をし、大いに楽しんだ「畜産・ふれあい体験交流会」の初秋の一日を紹介する。

 畜産に対する消費者の理解と支援対策の一環として企画されたこのイベント、関東農政局では都庁の広報や各種マスコミを通じ参加を呼びかけ、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県そして地元栃木県から49家族159名が参加した。ちなみに、参加費は中学生以上が1人当り2000円、小学生以下は無料で、実際に牧場に出向き美味しい牛肉のバーベキューを食べて、乳搾りやバター作りを体験し、そして消費者と酪農家が交流を図る企画。

 「呼びかけ当初は今一つ反応がなく少し不安でした。そこで農政局の畜産課員総出で大手町近隣の企業にチラシを配りました。おかげで最終的には50組を越える参加希望がありほっとしています」と苦労を話される池田関東農政局生産流通部長。

 また、最初の呼びかけは母と子供を対象としたそうだが、お父さん達から「パパはだめなのか」との抗議の電話があり、親子での参加にしたとのこと。

 平成11年9月11日土曜日午前8時30分。関東農政局のある東京大手町合同庁舎前には大型バス4台が出発を待つ。

 受付を済ませた参加者は、バスごとに色分けされたリボンを左肩に付け指定席へと乗り込む。

 9時10分、出発予定時刻に遅れてきた家族が飛び乗り、いざ大笹牧場へと出発。首都高速そして東北自動車道宇都宮ICをおりて、日光宇都宮有料道路・日光ICを経て霧降高原有料道路を走り、終点大笹牧場への3時間の旅。

 道中はクイズをやったり、質問コーナーを設けたりと子供が飽きないように農政局の方々が奮闘される。「牛の角は骨ですか」なんて質問もとびだす。

 途中の混雑のため少々遅れて12時10分大笹牧場に到着。

 この牧場は全国でも指折りの広い牧場。面積は362haあり、なんと東京ドームの278倍。日光国立公園霧降高原南東面の標高1030〜1320mに位置する。おもな飼養家畜は、組合員からの預託牛で放牧されているホルスタイン種がおよそ400頭、ブラウンスイス種が34頭、ジャージー種が2頭。そしてミニチュアホースや木曽馬、ポニー、山羊に羊にイノシシ、ウサギ、烏骨鶏など多彩な家畜が飼養されている。もちろん、ふれあいのための施設も「こやぎの丘」をはじめ整備されている。大笹牧場は栃木県酪農協同組合が管理する牧場で、乳牛の育成が主目的であるが、消費者とのふれあいの場として年間150万人の来場者を受け入れている。夏休み期間は1日当り1万5000人が訪れ、小学校の遠足や体験交流が行われる。

 さて、体験交流会。開会式を行った後、平成9年に新設されたレストハウスのバーベキュー食堂で栃木和牛とブラウンスイス種の牛乳の昼食。霜降り和牛に舌鼓を打ち、濃厚な牛乳の味に「こんなに牛乳って美味しいの」との声も聞かれる。

 そして食事を終え、メインイベントの乳搾りとバター作りに挑戦。

 乳搾りでは2頭のブラウンスイス種がスタンバイ。石川大笹牧場長がこの乳牛の性格、そして乳搾りのやり方を子供達に説明し早速トライ。「牛ってこんなに大きいの」「牛のおっぱいってやわらかいね」と子供達は興味津々。いや、お父さんやお母さんも。隣では栃木県牛乳普及協会のおねえさんによるコップを使った生クリームを原材料にした簡易バター作りの説明が行われ、3分間のシェイクによるバター作りが行われる。そしてパンに塗って手作りバターの味を確かめる。自分で初めて作ったバター、市販のバターとは一味違って格別に美味しい。

 そして最後のイベント。栃木県酪農協婦人部3名の方々との交流会。簡単に経営の概要をご紹介いただいて、参加者から質問を受ける。

 「酪農家の1日の仕事はどんな仕事ですか」「牛には1頭づつ名前をつけていますか、個性もそれぞれ違いますか」そして消費者が今一番関心をもつ「安全な牛乳生産のためにどのような配慮がされていますか」との質問がされ、さすがに婦人部の方々、実に判りやすく実体験や作業の内容を説明される。

 畜産の安定的な発展を図るためには、なんといっても消費者の畜産に対する理解が必要である。まずは消費者にレクリエーションであれ実際に牧場に来ていただいて、自然や家畜とのふれあいを楽しんでもらい、また経営や作業を知っていただく。そんな消費者との交流を図るイベントが数多く企画され実施されることを期待したい。



本記事は、畜産コンサルタント1999年10月号にも掲載されています。
※情報は掲載当時のものです。