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明日への息吹

牧場と都市住民とのふれあい

“牧場体験交流会の開催”

深沢 公男

 

1.はじめに

 山梨県畜産会(向山吉苗会長)は、去る8月21、22日の両日にわたり、上九一色村富士ケ嶺及び県立八ケ丘牧場等で牧場体験交流会を開催しました。
 この事業は、地方競馬全国協会と山梨県の補助を受け、消費者の方々が子供ともども、牧場での動物とのふれあい体験交流を通じて畜産に対する理解を深めてもらうとともに、畜産農家等は交流をとおして、消費者の意見や要望を聞いて今後の畜産経営に役立ててもらうため、行われたものです。
 交流会の参加者の募集については、親と子供(小学生)を一組とし、県内と県外夫々25組を、新聞、ラジオ等の放送機関をはじめ、県の公報、上九一色村のPR活動等により募集し、抽選により50組100人の親子が参加することになりました。県外からの参加者は、東京都をはじめ、神奈川、埼玉、千葉の各県の方々に参加していただきました。


2.ふれあいの拠点

◎上九一色村富士ケ嶺

 上九一色村富士ケ嶺地域は、山梨県の南部、富士山の西麓に位置し、自然環境に恵まれたところです。標高900m〜1,200m、年平均気温9.5℃の高冷地で、年間降水量は2,512mmと非常に多い場所です。ここでは、このような自然環境を利用した酪農・肉用牛による畜産と高冷地野菜による観光農業を目指した農業が営まれています。
 地域の農業は畜産が主体で、畜産農家数は64戸、このうち酪農家は53戸(飼育総頭数3,000頭)、肉牛農家は11戸(2,500頭)で、特に酪農は県下一です。牧草の栽培総面積は615ha、粗飼料の自給率は35%ほどとなっており、大分部の農家が草地依存型酪農として定着しています。
 なお、世間を沢がしたオウム問題も一応沈静化し、平和な村によみがえろうとしています。
 また、去る9月28日には、開拓50周年記念事業が盛大に挙行され、21世紀に向って力強く前進し、その発展が期待されております。

◎県立八ケ丘牧場

 一方、県立八ケ丘牧場は、富士山と対峙した八ケ丘南麓に位置し、小渕沢町、長坂町及び大泉村の3町村にまたがった高原に、約580haの草地が広がっています。
 本場では、黒毛和種県有牛約400頭を周年飼育管理し、肉用牛黒毛和種の改良増殖を行いながら、生産子牛を県内肉用牛生産振興地域に払い下げています。また、天女山分場においては、県内の畜産農家から預託された乳用牛、肉用牛等の家畜約400頭を夏期預託期間中放牧管理を行い、本県における大家畜生産振興の基地としての役割を果たしています。
 一方、山岳景観に優れ、牧歌的な雰囲気をもつ八ケ丘牧場を県民の保健休養の場として解放し、緑豊かな自然の中で、動物とのふれあいの場を提供しながら、県民に畜産に対する理解を深めてもらうため、天女山分場の一角に県立まきば公園を建設し、平成6年に開園しました。

会場(山梨県地図)


3.事業の内容

◎8月21日(第1日目)

 県内親子グループは、午前10時40分、甲府市県議会議事堂前に集合し、11時にバスは富士ケ嶺に向け出発しました。
 県外親子グループは9時40分新宿駅西口中央高速バス発着所に集合し、中央高速経由で富士ケ嶺に向かった。両グループとも、ほとんど同時の12時半に到着しました。

 昼食後開会式を行い、向山畜産会長は「富士ケ嶺は本県最大の酪農地帯で、景色も大変すばらしい所です。家畜とふれあい、また、地元の仲間とも交流して、畜産への理解を深めて下さい。」と挨拶した。また、地元富士豊茂農協の渡辺課長から、現在3,000頭の乳牛と、2,000頭の肉牛が60戸の農家で飼われている等、営農活動の概要説明をしていただきました。


 13時半からは牧場体験を開始、まず簡易枠場に繋留されたおとなしい母牛の乳房にさわって親と子が一緒になって、乳搾りを体験し、そのあと、地元の二戸の酪農家に行き、牛舎やミルキングパーラー等の生産現場を見学しました。


 終わって、日本獣医畜産大学の農場を訪れ、牛・馬・山羊・羊それに小家畜等いろいろな動物にふれあい、子供等は畜産会から渡されたクレヨンとスケッチブックで、写生を楽しみました。
 午後4時からは、農協広場において交流会が開かれた。地元上九一色村の渡辺村長、富士豊茂農協江野沢組合会長の歓迎の挨拶をいただいたあと、地元の酪農家や子供達も参加し、県産牛肉のバーベキューや富士ケ嶺牛乳などの畜産物や、富士ケ嶺地区の子供クラブが料理したデザートに舌鼓をうちながら、暗くなるまで楽しい交流が続きました。このほかステージでは若い愛好家によるカントリーミュージックの演奏会も開かれ盛況の中に終了しました。その後は、バスで宿泊場所の精進湖畔の民宿村に移動、夜は花火大会が盛大に行われました。

◎8月22日(第2日目)

 午前9時、県内組と県外組に分かれ宿舎を出発した。県内親子グループはバスで宿舎を出発、精進湖線経由中央高速道路を通り午前10時県立八ケ岳牧場に到着、小川県肉用子牛育成協会事務局長より、牧場の概要説明のあと、肉用牛の生産現場を見学、折から、ロールベイラーによる、乾草の調整が行われている現場では、参加した親と子が香ばしい草の香りを楽しんでいました。
 その後、移動して「まきば公園」で昼食をとった後、ポニーや羊、山羊等とのふれあい体験を行うとともに、広い牧場を心ゆくまで散策した。


 終わって、バスは17時甲府駅に到着解散しました。
 一方、県外親子グループは、上九一色村の観光や自然とのふれあいを行った。自然遊歩道の散策、本栖湖の遊覧、富岳風穴の見学等であった。その後、バスで中央高速経由で新宿西口に17時到着解散しました。


4.おわりに

 参加した親子はそれぞれ、広大な山麓に拓けた牧場の景観を満喫して、搾乳体験や動物とのふれあい、畜産の生産現場に接し、楽しい夏休みの想い出となったと感謝されました。
 同時に、参加者からの意見として、家族単位の応募にできないか、昆虫採取をしたかった、原っぱで思い存分遊びたかった等、さまざまな要望も出されました。
 事業目的から外れず、これらの要望にどう応えられるかが課題です。
 今後、農業を発展させるためには、国民的合意が必要であるといわれています。都市生活者の人達が農村に入って、畜産農家の暮しに接し、一人でも多くの理解と関心を持ったシンパを得ることがたいせつと思います。

(筆者:山梨県畜産会 畜産コンサルタント)


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