肉用牛肥育経営マニュアル

−もと牛の能力を十分に引き出し
肥育経営の所得向上をはかるために−

長崎県肥育経営マニュアル
作成委員会

   長崎県畜産会では長崎県畜産課、長崎県畜産試験場の協力を得て、平成7年8月に「肥育経営マニュアル」を発行しました。
 この「肥育経営マニュアル」は、長崎県下の肥育農家向けに刊行されたものですが、肥育経営技術について、わかりやすく記述されていることと、全国の肥育農家にとって、自分の経営の肥育技術の再点検の機会となると考え、ここに同畜産会の許可を得て再録するものです。
 なお、再録にあたっては分量の関係で、今月号から3回にわたって掲載していきます。


はじめに

 ウルグアイラウンドの決着により、肉用牛経営は益々厳しさを増してきました。
 今までの肥育経営のように、もと牛、配合飼料の不断給餌、このくず敷料の3つが揃えば、一定の所得を確保できるという時代は去ったと言えます。
 今後、肥育経営で生き残ろうと思えば、惰性的な考え方を見直して、多くのより優れた技術の積み重ねにより、少しでも有利に、経営展開を図ることが肝要と思います。
 本マニュアルは、県下の多くの肥育農家について経営判断を実施する中で、経営的、技術的な面から農家が感づいていないこと、先進的肥育農家と比較して見習う必要があると思われること等を取りまとめたものです。
 今までの県下の肥育経営を概観すると、系統偏重のもと牛選定や、配合飼料や単味飼料の流行的価値観等が主張されてきたきらいがあり、肥育経営において最も重要と思われる飼養監理や経営技術の追求が不足しているように思われます。
 肥育経営は、追求するえばするほど大変難しい経営であり、細かな技術的配慮と経営的感覚および長い期間の体験に基づく積み重ねを必要とするものです。
 肥育経営技術においては、多くの指導書や参考書が出版されており、これらの技術内容等について、再度ここで取り上げることは避けました。むしろ、これらの専門書には余り示していないことを主体にまとめたものです。勿論、個々の主観にとらわれないよう留意し、出来る限り試験研究や種々の文献の中で説明されたことを確認し編集しました。
 先進的な農家からいえば今更釈迦に説法の感もあろうかと思いますが、果たして自分の経営を振り返って、どの程度これらが実行されているかどうか。今一度点検の機会となれば幸いです。

1.飼養環境

(1)飼養環境の整備

 牛舎環境の状態を観察しただけで、その経営の善し悪しがわかるといっても過言ではないでしょう。不適切な飼養環境で経営がうまく回転している例は少ないように思われます。しかし、一般にはこれらの環境整備に無頓着な経営が非常に多くみられます。

 

(2)防暑・防寒対策

 長崎県を含む西南暖地の気象環境は、夏季には比較的早い時期から遅い時期までの高温に加えて湿度が高い特徴があります。また、冬季は比較的温暖な気候で、降水量も月間60〜80mm程度となっています。
 肥育牛の最適温度は10〜20℃であり、また限界温度は和牛で32℃、ホルスタインで27℃前後といわれています。
 環境温度が高くなると、体温が上昇し、呼吸数の増加、採食の低下、ならびに発育の停滞がみられます。(表1−1、1−2、1−3)。また、高温と高湿度が重なった場合、その影響が大きく、さらに肥育度が進んだ牛ほど強い影響があります(図1−1)。
 飲水量は気温の上昇に伴って増加する傾向があります(表1−1、1−3)。適切な防暑対策により飲水量の増加が抑えられ、敷料の汚染を低減する効果があります。


 舎内における熱発生の源は、外界から得られる熱と牛体から発生する熱に分類されます。体の内部で生ずる熱は、摂取した飼料のエネルギーの一部が熱に返還したものです。外界から得られる熱は、太陽および周囲の物体からの射熱がほとんどです。
 体温の発散は、牛体に直接風が当たることにより促進されます。表1−4に舎内風速と牛体の感覚温度の関係を示しました。送風により感覚温度の低下が認められますが、高温域ではその効果にも限界があるので、防暑対策は総合的に考慮することが大切です。
 以上のことから防暑対策の方策は、@環境温度の上昇を制御するための牛舎構造や施設の改善、A牛体の体温を低下させるための人為的手段の採用の2つの面からの検討が大切です。主な着眼点は、畜舎の立地条件、畜舎の向き(西日対策)、屋根の高さ・色、断熱材の選択、換気(除湿)、庇陰樹、細霧、送風、冷水給与などです。
 寒さに対して肥育牛は、一般に被毛と皮下脂肪の蓄積により比較的適応性が強いといわれています。しかし、肥育牛が濡れた状態で風に当たると体感温度が低下するので敷料の汚染等に注意が必要です。また、発熱のためのエネルギーが必要となるため飼料採食量は増加し、飼料効率の低下がみられます(表1−2、1−3)。閉鎖式の畜舎では換気が悪くなり易いので結露と合わせ対策が必要です。
 防寒対策の着眼点は、牛床の乾燥、換気(強制、自然)、結露対策、防風カーテン、飲水の凍結防止などです。

(3)舎内風通しと換気

 水分の蒸発と湿度は負の関係にあります。湿度を低下させるために、適正な換気が必要です。畜舎の最適温度は60〜70%、上限で85%といわれています。また、40%以下に低下するとほこりっぽくなります。
 そのほか、畜舎のほこりや有害物質、さらに細菌なども換気によって浄化が促進されます。換気の指標として二酸化炭素の発生量が、夏期0.2%、冬期0.3%よりも高くなると、その畜舎は換気が悪いといえます。
 換気扇を使い直接牛床の吹き付ける方式は、牛体への送風効果と共に、牛床の乾燥を促進するため、敷料の長期利用が可能となるので最近利用が増えています。調査例はでは、敷料の飼養量が50〜70%減少する傾向があることを報告しています。また、風速2m以上の風は、吸血害虫の被害を抑えるといわれ、夏季にはその効果も期待できます。ただし、その土地の気象条件、施設構造等を考慮し、送風には十分な注意が必要です。室内温度が下がっているのに換気扇のつけっぱなしや、電気料金等の経済的負担等は当然十分考慮すべきことです。特に哺育牛では急激な送風は事故に結び付き、牛房内で送風を避けられるような場所を設けるなどの工夫と馴致が必要です。

 

(4)牛舎環境の浄化

 前述の防暑・防寒対策のほかにも畜舎で発生するアンモニア、二酸化炭素、粉塵や病原微生物による空気の汚染、敷料の汚染、飼料の腐敗やカビ(アフラトキシン)の発生、飲水の腐敗や水質低下など、飼育環境の悪化(ストレス)は肥育牛の生産性に大きな影響を及ぼします。また、疾病を引き起こすきっかけとなります。肥育牛を取り巻く全ての環境に配慮しなければ、産肉性の向上にはつながりません。特に最近ではストレスと産肉性の関係が強調されるようになりました。
 畜舎の消毒は、消毒薬の特性を良く理解し、使用対象により薬剤、散布法を選び、適正な使用濃度で定期的に実施します。また、外部からの侵入は導入牛と人によるものが中心です、導入牛は別棟で予備観察し、異常のないことを確認してから所定の畜舎の収容するようにします。人の出入りは出来る限り制限し、踏み込み槽の設置などを実施したいものです。

 

(5)外部寄生虫の防除

 害虫は肥育牛に多大ストレスを与えるばかりでなく、公害発生の源になるので、十分な対策が必要です。代表的な衛生害虫、ハエ、サシバエ、アブ、ダニ、シラミ、ネズミなどです。
 外部寄生昆虫類は、一般に気温・湿度が高い場合に活動が盛んであり、夏季の暑熱ストレスを相まって生産性に多大な被害をもたらします(表1−5)。
 このような害虫は、防除することよりもその発生を防止することがより重要です。害虫の棲息、増殖環境を除去するため、畜舎内外の清掃、給排水の完備、除草、堆肥場の整備、周辺の湿地帯の乾燥化等に努める必要があります。
 また、防除については定期的に適切な使用方法で殺虫剤や忌避剤の散布を実施します。最近、防虫ネット等も市販されていますが、舎内に堆肥の蓄積や清掃が不備な場合には意味をなしません。

 

(6)堆肥舎の設置

 堆肥舎は害虫や悪臭の発生源になるので、なるべく畜舎から離れた場所に設置するか、何等かの方法で畜舎と隔離しなければなりません。堆肥舎は必ず屋根付とし、雨水の侵入がないようにします。
 最近では良質堆肥の需要が高まるとともに、肥育経営の中で堆肥の有効活用の必要性が高まってきました。畜舎周辺の畑地に堆積し、雨水の侵入等は早く改善したいものです。
 また、害虫の発生を抑えるため、定期的な切り替えしを行います。さらに必要に応じ石灰窒素や殺虫剤の散布を行います。
 堆肥施設の必要面積は、排糞尿量・水分、敷料の量・水分、混合物の量、調整水分、飼養頭数、堆積高さ、堆積期間等から適正規模を算出します(表1−6)。

(7)環境整備の考え方

 直接的に上記のような一つ一つの環境要因を理想的な形に近づけることは、経費の掛かることです。飼養環境が牛の生産性に影響を及ぼす過程は複雑ですが、なるべく投資を少なくする工夫をしながら少しでも環境的ストレスが軽減されるよう飼養管理を行うよう努力することが大切です。


2.牛舎構造と飼育密度

(1)牛舎の構造

 牛舎構造は、給餌、除糞、観察などを作業性が合理的かつ省力的であること、牛の潜在的能力を十分に発揮させるための生産環境が完備されていることが大切です。敷料交換時の牛の避難対策も考慮しなければなりません。そのほか、安全性や地域社会に対する影響も無視できません。
 さらに大切なことは、飼養頭数と肥育期間に関係する牛房の回転具合いです。定期的に、コンスタントに牛に出荷ができるように、牛房の数を整備しなければなりません。仕上げ牛舎を伴う施設はさらに難しくなってきます。これがうまくいかないと販売収入金が滞り、未収金の増加につながる例が多く、経営上の大きな支障となります。
 飼育方法か牛舎構造をみると、繋留式、単房式、追込み式に分類できます。
 繋留式は個体管理に適していますが、牛の自由な行動が制限されるため、牛体の汚染が大きく、四肢の障害も多くなり、かかるストレスは単房式や追込み式に比較し大きくなります。ストールの幅は130cm、長さ170cmが標準です。
 単房式は繋留式同様、個体管理に適しており、牛の行動も制限されないため、肥育の仕上げ期に採用される例が多くみられます。
 追込み式は群飼養のための飼料給餌や除糞作業が最も効率的に行うことができます。そのため、多頭飼育の進展にともない最近の肥育牛舎はほとんどが追込み式になっています。しかし、群飼育では牛の競合によるストレスを軽減する必要があります。
 競合によるストレス軽減の着目点は、群の構成(性別、月齢、発育差)、飼育密度、飼槽幅、牛群の組替え、除角などです。群の不揃い、アタリの発生等は除角により予想以上に好転した実例が多く見受けられます。

 

(2)飼育密度の考え方

 追込み式牛舎の場合、1頭当たりの牛床面積と1群当たりの頭数をいくつかの参考文献からひろってみると、1群当たりの飼養頭数は6頭前後、1頭当たりの牛床面積は6〜8uが目安となるでしょう。
 6頭以上の群飼育は、肥育前後の6カ月間くらいが限度で、中期に入って3〜5頭とし、後期(仕上げ数カ月前)になれば2頭もしくは単房にした場合により結果が得られているようです。
 さらに敷料の交換頻度は飼育密度と敷料の投入量に影響されるので、牛のストレスと管理労力の面からも適正な密度を考える必要があります。

 

(3)牛群の組替え

 一度序列が安定した群では、牛の組替えはあまり好ましくありません。ただし、群内が不揃いな場合は早めに牛の入れ替えを検討します。また、牛房移動の必要性、発育の程度、牛の相性等により牛群の再編成を行います。特に弱くて十分に飼料が採食できない“おちこぼれ牛”は、群から分離し別飼いするほうがよいでしょう。
 おちこぼれ牛の発生や密飼いの程度は、牛の行動から判断することが可能です。群の行動をよく観察し均等に飼料を摂取しているかどうか、全ての牛が横臥するスペースがあるかどうか確認します。肥育牛の横臥行動は、飼料採食後および深夜に集中する傾向があります(図2−1、2−2)。

 

(4)牛房移動の是非

 肥育期間中に頻繁に牛房を移動することはストレスの原因となり、肉質向上の妨げとなるので避けるべきです(表2−2)。しかし、前項の基準に従えば全期間を通しての移動なしでは管理が難しくなります。移動を行う場合には、気象条件を考え、なるべく以前と同じ構造の牛房にするなど、大きな環境の変化を避けるように注意が必要です。また、出荷直前の移動は慎むべきです。


3.管理施設

(1)飼槽と配餌施設

 飼槽は給飼、掃除などの管理作業で容易で衛生的で牛が楽な姿勢で採食し、食いこぼしがなく競合が起きないような構造、広さのものが要求されます。その形態には立上がり型、掃き込み型がありますが、肥育牛舎では立上がり型が多いようです。掃き込み型は低いので給餌作業が容易であり、コスト面で安く上がりますが、ゴミ、泥等が飼槽に混入しやすいので清潔さを保つよう十分留意する必要があります。
 飼槽の広さは牛の大きさと一度の採食する頭数によって異なりますが、競合を避けるためには1頭当たりの幅は80〜90cm前後が必要であり、例えば6頭規模の牛房の場合の間口は4.8〜5.4m程度の長さになり、飼料の食いこぼしを防止するためには80cm前後の奥行きと30cm前後の深さが必要です。そして通路側の飼槽の縁を牛床側の縁よりも10cm程度高くして、さらに牛床側の飼槽の上40〜50cmの所に横棒を通すと採食時の牛の頭部の動きがある程度制限されるため、食いこぼし防止効果が一層高まります。また、飼槽の底部の形状は半円形のものが好ましいといわれています。
 飼槽の牛床側からの立上がりの高さは、ほぼ牛の胸低に高さであることが、採食の姿勢から見て無理のない高さであり60cm前後が適当です。通路側からの立上がり高さは給餌作業と関連し、高くなるほど労力を要することになるのでなるべく低い方が良く、そのためには牛床と通路の高低差をつける必要があります。例えば、通路側からの立上がり高さを50cm前後とすると、牛床と通路の高低差は10となります。また、飼槽への糞の混入を防止するため、牛床側にステップ(幅30cm、高さ20cm前後)を設けると効果があります(図3−1)。


 配餌施設、配餌作業は飼育頭数や畜舎構造によって異なり、人力による手押し車、耕うん機、軽トラック等を利用した配餌車、および、自動給飼システム等がありますが出来るだけ省力化を考えるべきです。いずれにしてもそれぞれの畜舎に合った合理的な給飼方法を工夫する必要があります。

 

(2)給水施設

 給水器は水槽とウォーターカップが主でありどちらを利用しても良いが、要は常時きれいな水を十分に飲めるようにしておくことが大切です。このため、水槽では貯留水が少なくないか、糞が食いこぼした飼料で汚染されていないかを注意し、掃除に心掛けることが必要です。また、親水槽が設置されている場合は親水槽への見送りがおろそかになりがちですが、定期的な点検、清掃を忘れてはなりません。
 ウォーターカップでは水圧は不足して水の出が悪くないか常に点検することが必要です。
 給水器の設置場所は飼槽の反対側、または飼槽に併設することが考えられます。牛房内は糞尿が入りやすいので好ましくなりません。飼槽の反対側に設けた場合、牛は飼槽と給水器を交互に移動しますが、その際、牛房面積が狭いと休息中の牛が起こされ易くなるので適正な頭数規模を厳守することが大切です。採食スペースに余裕があれば飼槽に併設すると掃除等管理は容易となります。この場合は飼料が給水器に入らないように仕切り板を設けることが必要です。そして、給水器周辺の排水についても十分配慮します。特に飼槽と併設する場合は汚水が畜舎外へスムーズに排水できるよう飼槽外側の下部に排水溝を設ける必要があります。
 また、給水器の数は牛が競合をしない程度の配置をします。
 給水器の上端の高さは牛房から60cm前後、水槽の構造は幅30〜40cm、深さ25〜30cmが一般的です。

 

(3)屋根と牛房柵

 屋根の高さ、構造、軒高、屋根材等は環境に与える影響が大きいので、本県のような温暖地では特に防暑対策を考慮し、立地条件にあった選定が望まれます。
 屋根材は、耐水性、耐候性、断熱性、施工性等にすぐれ価格の安い材料を選定することが大切です。温暖地での畜舎の屋根材は石綿スレート波板、硬質塩化ビニール波板が多く使用されています。
 これらの特性は、耐水、耐候、耐久性に優れ、比較的コストは安く施工も簡単です。さらに両波板には発泡スチロール等の断熱材と一体化し、断熱効果をより一層強化した製品も流通していますので割高にはなりさうが、防暑対策のうえからこれら製品の選定利用も考えられます。
 また、防暑対策として牛舎に直接日光が差し込まないよう、雨水の吹き込みがないよう庇の長さを調整するとか、必要な場所に適当な規模で簡単に設置できる寒冷紗を利用する等の工夫も必要です。寒冷紗は利用目的によって各種のものがありますが、牛舎のパドックを寒冷紗で覆って防暑効果を牛体の生理反応によって調査した結果では、その遮光率が60〜80%程度のものを使用すると防暑効果が大きいことがうかがえます(表3−1)。
 屋根の下の空間を稲ワラ置き場等に利用されている畜舎では古ワラ、ゴミ、昆虫の死がい等が落下し、飼槽、水槽を汚染している所もみられますので、定期的に管理することが大切です。
 外側および隣房との仕切り柵は鋼管、木材が使用され、その形式は横柵が一般的です。最上部柵の高さは牛の品種によって使い分けることが必要ですが、牛床から1.5〜1.3mとし、最下部の高さは30cm程度が一般的です。
 柵の不備から発生する事故は意外に多いので、牛が興味をもって頭部を出さないよう、足を引っかけないよう不用意な空間を作らないよう留意します。

 

(4)換気扇

 牛舎内の換気の改善、防暑対策、牛床の乾燥促進等のため換気扇(送風機)を利用した牛舎が増えています。利用されている換気扇には一般の家庭で使用されている直径30cm程度の小型の扇風機と、羽根の直径が1m程度の大型のもので天井から吊り下げて利用する直下型の換気扇があります。
 換気扇の設置についてはその目的に応じて大きさ、台数、取り付け場所を選定することが必要です。小型の扇風機は通路側、または壁側から牛床に向かって斜め下方向に設置され(図3−2)、牛体への送風、牛舎内の換気を目的として利用される場合が多いようです。
 直下型換気扇は牛体への送風、換気のほかに牛床の乾燥促進のために利用されます。その高さは、天井、除糞作業時のショベルローダの高さ等を考慮し、牛床から3m前後、間隔は1牛房(6頭規模)1基が目安と言われています。その使用に当たっては、1.飼養環境の(3)を参照して下さい。
 直下型換気扇の設置費は性能によって若干異なりますが、1基当たり5〜8万円程度、風速を自動的に加減できる制御盤は10基用で40〜50万円程度です。

 

(5)そのほかの施設・牛衝器・枠場

 飼料の給与量が適性で予定どおり増体しているかを正確に把握するためには、定期的な体重測定が必要です。牛衝器は是非揃えておきたい器具と言えます。
 移動式か固定式にするかは畜舎の条件、投資額等によって異なりますが、どちらにしろ、体重測定のために牛がストレスを受けることがないよう工夫することが大切です。固定式にする場は牛をスムーズに牛衝器の所まで誘導するための移動柵を設けると効率的に測定が行えます。
 枠場は繁雑に使用する施設ではありませんが削蹄、治療、除角等を行う際に管理者はもとより牛も傷つけないよう十分に保定するための大切な施設です。その寸法例を下記に示します(図3−3)。

 

(次号へつづく)