特別企画

暗渠(あんきょ)排水管とモミガラを
活用したたい肥の水分調整

前之園 孝光

 
 家畜ふん尿をたい肥化する主役は、好気性微生物の活動です。その微生物を活性化させるための必須条件となるのが栄養、空気、水分、温度などです。好気性微生物らが能力を発揮しやすい好条件を与えてやらないとたい肥化が進まなくなってしまいます。

 たい肥化する家畜ふん尿を適正な水分(70%前後)に調整し、空気の取り込みやすい条件にすることが必要ですが、水分調整材として身近な「モミガラ」を活用することを提案します。

 今回の「あいであ&アイデア」では、

(1) モミガラをベッドの敷料として活用し、
(2) 安価なたい肥舎(パイプハウス)を作り、
(3) たい肥舎の床のコンクリートに溝をつくり暗渠排水管を入れて水分を排出させ、
(4) たい肥の上にはビニールを覆い、たい肥の温度を上げることで良質なたい肥が出来上がり、
(5) 尿汚水は貯留槽に溜め、適時スラリーインジェクターで畑にすき込む、

―というトータルなアイデアを実践している、千葉県九十九里町の作田牧場の取り組みを紹介します。

モミガラをベッドの敷料として活用

 千葉県九十九里町は、九十九里平野の真中に位置し水田地帯のためモミガラを集めやすい地域です。作田牧場は約170ha分のモミガラをライスセンターなどから集めています。これをビニールハウスにストックし(写真−1)、フリーストール牛舎のベッドや通路に敷料として使っています(写真−2)。

 これにより、牛体はきれいで、臭いもほとんど感じられません。

 また、牛の肢蹄保護、滑り止めなど、事故防止の面でも役立っています。

安価なたい肥舎を作り、床のコンクリートに溝をつくり、暗渠排水管を入れ水分を排出させ、水分調整が上手にできています

 写真−3に示したように、たい肥舎(3連棟)は安価に仕上がっています。

 アイデアとしては、フリーストール牛舎からのふん尿は水分が高く処理に困っている例が多いですが、モミガラと混合することによって水分が調整できています。

 これにより、ショベルローダ等での搬出が容易になっています。たい肥舎の床のコンクリートに約1m間隔で溝をつくり、暗渠排水管を入れ水分を排出させ、水分調整が上手にできています。

たい肥の上にはビニールを覆い温度が上がり良質なたい肥ができています

 (写真−4)に示したように、たい肥の上にビニールを覆うことで、温度が上がり、良質なたい肥ができています。朝夕の搾乳時、待機場に搾乳牛が集まり、その間にベッドや通路の掃除をしてモミガラと混合したふん尿をたい肥舎に搬出し、ビニールをはがし、攪拌(かくはん)しながら堆積し、熟度をみながら隣のたい肥舎へ移動します。

排汁(尿汚水)は貯留槽に溜め、適時スラリーサブソイラーで畑にすき込んでいます。
たい肥のほとんどは、約20haの飼料作物畑や水田に還元しています

 近くの園芸農家からの要望でたい肥を販売していますが、プラウ耕などもあわせて行うことで喜ばれています。

 
図−1 牛舎配置図


写真−1 モミガラをビニールハウス(2連棟)にストック


写真−2 モミガラをフリーストール牛舎のベッドや通路に敷料として使っている


写真−3 たい肥舎の床のコンクリートに約1m間隔で溝をつくり、暗渠排水管を入れてある


写真−4 たい肥の上にはビニールを覆うことで、温度が上がり、良質なたい肥ができている

(筆者:千葉県農林水産部農業改良課・主席農業専門技術員)