特別企画

ここがポイント! 農機整備(2)

青 木 敬 典


 今回は、トラクターマウントタイプの吹き上げカッターについて考えます。

 吹き上げカッターは刈り取ってきた稲ワラなど収穫物の残渣やトウモロコシ等の飼料用作物を、細かく切断してたい肥にしたり、サイロに詰め込んだりするために使われています。畜産関係で使われているトラクター作業機のフォレージハーベスターなども飼料用作物を細かく切断して吹き上げる点では同じ役割をしていますので、参考になると思います。

 けがをしないために作業者の服装をまず点検します。

1. コンベアに引っかからないように袖(そで)のだぶついた服装はしない。
(私は軍手もするなと教わりました。)
2. パワージョイントに巻き込まれないようにズボンの裾(すそ)は防雪長靴の中に入れる。
3. 襟巻き・はちまき・腰タオルなどはしない。

 トラクターへ吹き上げカッターを装着します。

1. 3点リンクのリンクピンの点検
2. パワージョイント(PTO)の長さを確認します。(図−1
 すべてのトラクター作業機についても共通ですが、最縮時の隙間を2.5cm以上確保します。
 最伸時の重なりを10cm以上確保します。
 新品カッター購入時にメーカーによりトラクターに装着してもらったものは問題ないと思いますが、急きょトラクターを変更して装着するときは特に点検が必要です。そうしないとリフトした時にPTO軸が突き上げられてカッター側の軸受けが破損したり、動力をかけた時にジョイントパイプがすべって破損したりして非常に危険です。
3. 安全カバーや回り止めチェンの点検をします。

図−1

 トラクター始動時の点検をします。

1. トラクターのエンジンを始動するときは、PTO・カッターのクラッチを切った状態で始動します。
2. エンジン低回転で各クラッチを入れて、徐々に回転を上げます。(PTO変速は1速、回転数540rpm)
3. 異音・異常振動があれば直ちに停止して点検します。

 吹き上げカッターの各部の調整・点検個所は以下のとおりです。

1.切断長さの調整

 ギヤケースを開けてギヤを交換することで切断長さを変えることができますが、最長長さで使用する際はコンベアの速度が非常に早いので、コンベアを外して使うなどの注意が必要です。

2.刈り刃と受け刃の研磨と隙間調整(図−2)

  1. トラクターのエンジンを停止し、ケーシング(カバー)を開け、フライホイルの回り止めをしてから行ってください。
  2. 刈り刃取り付けナットを緩めて刈り刃を外します。刃はA・B面のみ研磨します。刈り刃は湾曲していて、中央部分が特に磨耗するので、両端をかなり研磨して減らさないと、受け刃に接触して異音が出たり回転不能になります。隙間ははがき1枚分が基本で、刈り刃取り付けナットを8分目の力で締め付けておいて、刈り刃調整押しボルトを固定しロックナットを緩めます。押しボルトを少し送り出して隙間調整をします。最後に取り付けボルトを完全に締め付け、受け刃との接触の有無を点検します。刈り刃取り付けボルトの上部の裏側にはとも回り防止の突起があるので、注意してください。

3.コンベアの張り調整

 コンベアが伸びてくるとスリップするので張り調整が必要です。左右均等に張るよう調整ボルトで行います。コンベアの下側の中央部で樋との感覚が13〜15cmが目安です。

4.各部の注油・グリスアップ(表−1・図−3)

 グリスアップが必要なところは、グリスニップルがついています。取り扱い説明書を参考に探し出して、こまめに行ってください。特に見落としがちなところは、回転刃の軸受け部や上下ロールの軸受け部の左右4ヵ所です。

図−2
図−3

    表−1 給油箇所一覧表
給油、塗布する油は、清浄なものを使用してください。
グリースを給脂する場合は、古いグリースが排出され、新しいグリースが出るまで行ってください。
出荷時には、十分給油してありますが、使用前に確認してください。
 
No. 給油箇所 箇所 潤滑油の種類 給油時間 備考
1 上ロール軸受:R・L 2 グリース 使用ごと
2 下ロール軸受:R・L 2
3 五角車軸受:R・L 2
4 主軸受:F・RE 2
5 軸受 1
6 五角車駆動チェン オイルまたはグリース
7 補助ロールアーム:R・L 4 グリース
8 ギヤボックス 1 使用初期30時間後
その後100時間ごと交換
交換量
300〜350g
9 ギヤボックス
(クラッチ軸)
2 使用ごと
10 ベベルホイール軸受 1
11 歯車歯面 オイルまたはグリース
12 ギヤボックス
(下ロール軸受)
1 グリース
13 上ロールギヤ軸受 1
14 後部コンベヤロール 2 オイル
15 テンションアーム軸受 1 グリース
16 パワージョイント 2 マウント
カッター
回転、回動支点およびパワージョイントのクランプピンを含む摺動部にはオイルを注油し、また、PTO軸、PIC軸、パワージョイントのスプライン部にはグリースを塗布してください。
 

 カッターは硬い作物を切断して粉砕し吹き上げるため、重いフライホイルに刈り刃を取り付けて高速で回転させているので、取り扱いを間違えると非常に危険な機械です。

 以上を参考に、安全に使用してください。

(筆者:「農の会」会員)