『土嚢で作るトレンチサイロ』

宮 脇 耕 平

 

 低コストで省力的なサイレージ調製のためのサイロとして、飼料畑や空き地に素堀りのトレンチサイロが用いられていますが、側壁崩落のため反復使用には問題があります。この側壁崩落防止のためにL型コンクリートブロックを並べる方法が普及していますが、より安価でそして自家施行も可能、かつ反復使用に耐える、側壁に土嚢を積上げる方式のトレンチサイロをご紹介します。

(1)作製方法

(1)まず通常の四角なトレンチサイロを掘ります。その大きさは、仕上がり内寸に両土嚢壁の幅約1.2mを加えた寸法とします。当試験場ではサイレージの使用日量と取出しに使うホイルローダのバケット幅から内法で幅2.5m、高さ1.5mとし、長さは単管パイプ4本分の24mとしました。この大きさで約90m3の詰込みが可能です。なお、短辺の一方は出入り口として開放しておきます。

(2)底面へ仕上がり内寸の線を引き、四隅および左右両壁の内法から20〜30cm外側に単管パイプを3m間隔で打込みます。

(3)内寸線に沿って奥壁および左右側壁の三面に土嚢を積上げます。土嚢袋は市販品(60cm×45cm)を用い、これに掘出した土を詰めます。土嚢底部を内側にして隙間なく横一列に並べ、土嚢の上面が平になるまで踏みつけながら、次の段を積上げます。

(4)5段程度積上げるごとに、単管パイプを土嚢の上に渡し、先に打込んでおいた縦パイプにクランプで固定します(別図)。この単管パイプで土嚢の崩れを防止します。

別図 土嚢の積方と固定方法

(5)積上げた土嚢の後部へは土を詰めて固定します。

(6)床面をホイルローダ等で整地し、しっかり踏み固めて完成です。

(2)サイレージ調製方法と経費

 サイレージの調製方法は通常のものと同様ですが、原料草の詰込みの際は土嚢面にビニールシートを張り、できれば側壁下部にコンパネを立てかけると、踏圧効果が高く脱気が良好となります。また取出し時のローダバケットによる土壊を防止できます。

 このトレンチサイロに昨年11月上旬ソルガムを詰め、12月下旬に開封したところ、乳酸比率78.3%、フリーク97点と大変良好な品質のサイレージを作ることができました。

 90m3サイロの作製に要する直接経費は、労働費を除いて、土嚢袋約1000枚、単管パイプ(6m)30本、クランプ60個、継手18個で、およそ10万円程度です。

 
作製したトレンチサイロ
左側は土嚢壁、右側は素堀り土嚢
(右側にも本年土嚢積みを行う予定)
  土嚢を積上げたサイロ側壁
     
 
サイレージ取出しに使用するホイルローダ   土嚢壁の内側にコンパネを立て、ビニールシートで覆い詰込みを行う

(報告者:長野県畜産試験場・肉用牛部長)