農場再生 こうして経営困難を打開する(3)

村 上 明 弘

1.リズミカルな日常作業

 経営には生産活動すなわち作業がつきものです。経営に目的がある以上、どんな作業にも目的があります。その目的は、できるだけ軽量軽質な作業、すなわち最少の労力で達成できることが求められます。
 さらにその作業には、一定の流れすなわちリズムも求められます。そのうえ労働と休息のケジメのある切替えも必要です。
 もっとも目的を達成する手順に狂いが生じた場合はその限りではありません。基本原則は経営目的の達成、それが第一ですから、時には作業の内容に変動を生じることも多々あります。
 困難な経営状態にある農場は、ここのところに狂いを生じています。目的の達成にほど遠い仕事にばかり追われているか、目的の達成を意識していない毎日ワンパターン、終わらせたい一心で作業のみをしているか…という場合が多いようです。すなわち、作業することが目的になってしまっています。それを、真の目的を果たすための作業(仕事)に変えねばなりません。
 以下のことを配慮し、価値高く、リズミカルな日常作業の型を作りだすことが大事です。

1.日常作業のパターン化

 毎日ある作業を、順序、時間帯などに関しパターン化します。朝や夕の搾乳作業とその前後に集中するとか、朝と昼と夕の3つの時間帯に固めるとか、朝と夕および午前中にすべてを終わらせるとか…してどこかに日常作業以外の空き時間帯を作り出します。
 また半日常的な作業、たとえば、離乳、妊娠鑑定、子宮清浄化、乾乳、淘汰、牛の移動、機械施設の点検・清掃などは、1週間とか10日に一回まとめてやってしまえるようにします。すると、より多くの空き時間を作りだせます。
 この貴重な空き時間を利用して、後追い的な作業を余儀なくさせている、そんなたまっている仕事や、施設・機械・環境の不備を解消します。ソフト面を考えるゆとりを持たせます。家族生活への志向によるストレスの発散をします。

2.過重作業の見直し

 とくに時間や体を使いすぎる作業があったら、それを検証し改善します。搾乳、飼料給与、飼槽掃除、ふん処理、牛の移動、哺乳…成果は小さいのにやたらと重荷になっている作業があります。
 たとえば搾乳など、多人数で長時間かかっている割には、ひとり一人はのんびりムード…小さな暇が多々あるのに搾乳以外はできない…そんな農場があります。ミルキングシステムの機能限界などでユニット数の増加ができないのなら、搾乳時間の少しの延長は覚悟して、一人搾乳(作業者減らし)をし、浮いた労力を他の有意義な作業にまわしたりします。両者の作業効果は大幅にアップし、しかも他の作業が同時進行で片づきます。

 このようなことは多々あります。長年の慣行作業を容易に変えられないのが普通です。指導される方の提案がたいせつです。

3.作業環境の整理整頓

 『再建のはじめは環境整備にあり!』といっても過言ではないでしょう。使ったものを次々に放置しては労力と資材を無駄にしたり、凸凹ツルツル路面や坂・段差、狭く行き止まりの通路や出っ張りだらけの壁天井で作業性を大幅に落としていたり…同じ効果を得るのに多大な労力を余儀なくされている事例がありすぎます。
 ブルやショベルを入れてでも、できるところから次々に整備改善し、すっきりした作業環境を作りだすのは、想像以上の余得を得られます。利用しきれないのに、妙にものを持ちたがる性質はよい結果を期待できません。思い切って処分することにより気分一新するのも良いのでは……。

4.非効率な作業部門の除外

 ありすぎる仕事はリズミカルな作業体系づくりを阻害します。その作業部門自身の収支が合わないか、その部門に労力を割かれ経営全体にマイナスの影響を与えているか、そんな分野を経営から除外します。無くすか預けるかです。
 肥培管理、飼料調製、哺育・育成などです。

5.作業の単純化・誰にでもできる化

 複雑な手法をともなったり、特定の人にしかできない作業も困ります。
 多くの技術は単純な作業法でも効果を発揮できます。とくに一発技術(離乳、搾りきり、乾乳)や飼料の一律な増・減給法、あるいはつなぎっぱなしグループ分けや自然自由分娩法などです。
 機械施設の運転や操作、哺乳方法、濃厚飼料等の給与法などは、もし誰にでもできるようになれば最善です。確かに他の人に絶対させてはいけない場合もあります。しかし、多くは変なこだわりのためにその人にしかできなくなっている場合の方が多いようです。

2.乳牛の安楽性向上

 先にも書いたが、牛の気分が少しでも良くなれば生産性は飛躍的に向上します、本当です。家畜を生き物として扱わない精神構造に、経営不振やおもしろくない仕事にいたる芽があります。
 投資や準備期間を要するものもありますが、多くの安楽提供は『今すぐ』できます。ストレスフリーな状態が高い乾物摂取や免疫力を保証してくれます。このことをじゅうぶんに説明し、地味だがすぐに効果のでるこの仕事を意識的にするよう誘導します。
 安楽性の向上、地味なこの技術がツボにはまれば、他の管理技術の多くが予想を上まわる効果を発揮するでしょう。大本の生命活動にキャパシティがあれば、飼養技術に対する包容力が高まり、安全に高生産を得られるわけです。
 経営困難な農場の再生においては、たいていの場合、必然的に高い個体当り産乳量と多頭化をめざさなくてはなりません。その場合、往々にして直接的な技術でそれを求めようとしてしまいがちです。
 飼料設計にこだわったり、濃厚飼料を頻繁に変えたり、特殊添加物を多用したり、すぐに牛を買いたがったり…です。しかし、多くは功を奏しません。たいてい牛が不元気だからであり、ストレスと代謝障害で牛がまいっているからです。

 すなわち、その前か同時進行でやらねばならないことがあるわけです。それが乳牛の安楽性確保です、気持ち良さの向上というわけです。

1.不安のない(信頼のある)心

 人と牛の関係を、主従の間柄だが(仲間ではないが)不安感を持つ必要はない。そんなふうにしつけます。これがうまく成立すると、牛の管理作業がスムーズに行きます。活気にあふれ、かつユッタリした牛群になります。
 極力、叩いたり大声をだしたりしない、それを辛抱強く実行してもらいます。経営困難は人と牛の関係もうまくいっていない場合が多いようです。
 もちろん他の牛との関係もあります。牛群は安定した序列により穏やかさを維持します。弱い立場の牛が少しでも不安を和らげられるような配慮がたいせつです。

2.フレッシュな空気の提供

 乳牛における換気の重要性は論を待ちません。他の動物に類をみないその巨大な生産生理を考えればすぐにわかります。鮮度の良い空気は、温度・湿度・臭気・埃・病原菌やウイルス・カビ・有毒ガス…などに関し、高い浄化度を提供します。
 換気と涼しさや暖かさの提供は似て非なるものです。過剰換気や隙間風は寒さまで提供してしまいます。また換気量が多いからといって涼しさをじゅうぶんに与えられるとは限りません、注意を要します。
 寒さは感じさせないで、少しでも多く換気をするようにします。方法はいくらでもあります。

3.暖かさや涼しさの提供(暑さや寒さの緩和)

 北海道などでは、夏における突然の三日続きの暑さが、酷いアシドーシスを発症させ、産乳性を一気に低下させることがあります。涼しさの提供や夜から朝におけるエサのやり方、さらには高品質な粗飼料の最小量保証がものをいいます。

 また、冬における、日差しのあたらない、湿気っぽい、寒風の吹き抜ける…そんな状態が生産を著しく低下させている農場も多々あります。ヌレ子や哺乳牛や離乳牛、分娩前後牛や高産乳な状態の牛などはとくにまいります。体温の囲い方、部分断熱の方法、通風の最小化、栄養の補給などを意図します。
 感じ方としての暑さや寒さの意味をじゅうぶんに説明して、きめ細かい対策を実行してもらいます。

4.高品質な水のじゅうぶんな提供

 飲みたい量を飲みたいときに瞬時に飲める、そんな給水の条件が必要です。それなのに、少ない水量やでの悪い給水器、汚物汚臭だらけの胸のつかえる給水器では、牛もたまりません。清掃の強化や簡単な修繕はすぐにできるはずです。

5.清浄・滑らか・そして食べやすい飼槽

 変敗腐敗物がこびりつき、かつ凸凹ギザギザ面の飼槽では、何をかいわんやでしょう。最大級に生産性を左右する飼料に関し、無頓着のそしりを免れません。
 すぐにはツルツル飼槽に改造できなくても、せめて清浄な飼槽を維持するようにします。
 本来なら、飼槽の掃除作業そのものは利益誘導しません。綺麗な飼槽の状態が利益を生むのです。掃除そのものは、きわめて簡単にすむか、しなくてもよいのが一番です。作業の目的は美しい飼槽の維持なのですから、それを簡単に経済的に実現できるような設計や道具の開発や仕事の仕方がたいせつなのです。すべてにそれはにあてはまります。しかし、飼槽は第一級にその考え方がものをいいます。
 だから、厄介な飼槽を持ってしまった農場ほど、少しでも道具や作業法の工夫をして、目的に近づく作業をせねばなりません。

6.自由度のある繋留

 前後上下の行動制約が強いほど辛いことはありません。とくにつなぎっぱなしで飼養している場合は最悪です。少しでも寝起きや採食の行動にゆとりを持たせることが大きな利益を作ります。
 マセンボウの位置、スタンチョンのゆとり、首輪のゆとり、つなぎチェーンやロープの長さ、パイプ止めの幅…など姿勢制御のきつすぎるものがないか観察します。もしすぐ改善できるなら、さっさと改造します。また少々お金がかかっても、ニューヨークタイプへの改造くらいは効果満点の投資です。マセンボウ1本の取り付けと首輪とチェーンとカウトレーナの設置(これはニューヨークタイプに付き物です。忘れずに!)ですみます。

7.ソフトで滑らない牛床

 硬く、凸凹で、さらに滑る牛床は困ります。簡単な寝起き行動やドライでソフトな場所における休息がじゅうぶんな採食を促します。すなわち少量で多回数な採食です。
 とくに前脚の折るところと後脚の踏ん張るところは大事です。牛床の総合的な改造は手間も時間も資金もかなり掛かるのですぐにというわけにはいきません。計画性を要します。
 しかし、前膝のつく床面くらいには可能な限りソフト感を提供しましょう。前蹄周辺に牛の掻き出しに負けずに敷料を入れ続けましょう。二十日もすれば牛も諦めて敷料を前かきしなくなります。前膝に毛が生えてくればベストでしょう。
 さらに、滑りやすい後蹄周辺はできるだけ乾燥するように手入れし、敷料も豊富に投入しましょう。必要な牛には尿溝上スノコを活用したりして滑り止めワラを入れましょう。
 もし、敷料をつかえない方式の牛床であっても、細かいオガコやカンナ屑あるいは細断したワラやペーパーなどを使って、ともかく『可能な限りの』ソフトとドライ感を提供することがたいせつです。

8.削 蹄

 困難に至った農場ほど蹄の変形や変質が目立ちます。管理失宜の総合の結果が肢蹄にでやすいのと、収支に行き詰まると削蹄代金のような直接的な出費を抑える傾向があるからです。
 正常な蹄の価値は今さら説明を要しないほど重要です。しかし書きます。異常な蹄は、不安定な寝起き行動や立っているときの辛い負担、さらには、自らや隣牛の乳頭損傷まで引き起こします。
 余りにも伸びた前蹄のために、寝起きの際、どうやって蹄を裏返せばよいのか困惑している姿や、後蹄の変形のために、後肢をブルブル震わせながらやっと寝起きしている姿、コンクリート床を恐る恐る歩く魔法使いの婆さんの靴のような蹄は…氏@利益からほど遠いものです。
 異常な肢蹄の原因は、育成環境や飼料給与法あるいは施設環境や牛床管理など…多岐にわたります。しかもこれらはさまざまな事情が絡み、管理者の思いのままにはできないことが結構あります。その点、削蹄だけはその気にさえなれば思いどおりに実行できます。
 せめて削蹄だけでも正しい方法で早め早めにし、基本の安楽性を提供してください。

9.綺麗な体

 牛体の汚れや傷は低い生産性を意味します。心も栄養も反映した美しいボディは高い生産効率を表しています。
 通常、完全な安楽の提供はふん尿による牛体の汚れを招きます。牛床周辺のあらゆる寸法は安楽と制御のハザマで決まります。アチラを立てればコチラが立たない…という関係です。『丁度よいのが丁度よい』ということです。豊かな安楽を提供しながら、美しい牛体を維持するのが理想です。

 経営困難な農場にはここのところの弱点が目立ちます。以下の工夫や管理を地味だが最優先に考えて、実行し続けることが後から大きな収益を生むのだと思います。大事なので少し詳しく記します。

牛床の長さ:長すぎても短かすぎても牛体を汚します。適度な長さ(170±5 cm位か?)以外は相応のふん尿落とし作業をする。

敷料:可能な限りたっぷり敷いておきます。しかし、汚れて処理する敷料はできるだけ最小量にします。たっぷり敷いて少ししか投げない……この考え方がたいせつです。敷料管理の省力化は、一般牛舎ではできません。体を使うしかありません。このような価値の高い作業にじゅうぶんに時間を使えるよう、他の分野の省力化を工夫するわけです。

ブラッシング:行動に自由が提供されている牛群は、自分で体をこする仕掛けをアチコチにセットします。しかし繋がれっぱなしの牛は人がある程度体コスリをしてやる必要があります。もっとも、繋がれっぱなしでも舌が尾根部まで届くくらいのゆとりはあった方がよいでしょう。しかし、それでも頭頂から首や肩、背中や陰部周辺は届きません。それでも頭や首はチェーンタイなら両サイドの柱にこすれるものをセットして自分で擦らせることができます。しかし、さすがに背や腰などは無理です。人と牛の信頼関係のためにも、毎日何頭かずつ体コスリをしたいものです。ただし、埃りをすわないために遠くからでもできる道具を工夫して下さい。こんな地味なことが利益の根なのです。

カウトレーナー:繋ぎ飼いの場合、通常、背上の電気仕掛けでふん尿を尿溝に落下させる必要があります。通常の立ち姿勢の時はまったく支障はないが、排ふん尿の際は半歩下がって背を半分丸める姿勢になるようにセットします。経営がうまく行っていない農場には、このカウトレーナーがまったく機能していないか、余りにもきつくセットし牛が身動き不能に陥っている場合が多いようです。前足を折ったままで採食や排ふんをしたり、搾乳時に電気を切ったらいっせいに排ふん尿したり、背中を真っ直ぐにしたままでしたり…ではきつすぎて逆効果です。

尾の保定:尾房にふん尿をつけて振り回されては…たまりません。牛の汚れと作業性の低下は(牛のそばにいたくないので返って早まるかも…)極に達します。何故そうなるのか、先ずそれを考えるべきです。通常、完全に近い安楽性があれば尾房はきちんと内股にしまわれます。かゆさや虫など嫌なことがなければそのままです。もし尿溝に落としても、じゅうぶんな敷料や尿切りで尾房が汚れなければ、そうやすやすと体は汚れません。少しの汚れなら、その牛の尾房をすぐ洗ってやればよいだけです。しかし、現実は理想と程遠い農場がほとんどです。繋ぎ飼いなら、その時、尾の保定をします。横臥してもゆとりはあるが、尾は床スレスレにあり、かつ尾を振ってもほとんど抵抗も音もない…それが理想のセット方法です。あまりにでたらめなやり方の農場がいっぱいあります。断尾にいたるのは最後の最後です。なくしてしまうと刺し虫も追えず激しいストレスを受けることもあります。これ以上為すすべがないのに尾房で体を汚す場合、蠅や刺し虫を追えなくなる不利と相殺して尾を切るかどうか決めます。

10.安楽なお産

 収支の合わない農場には、出産時のミスがめだちます。安産で衛生的な分娩をできたかどうかは、その後の生産実績に大きく影響します。安産を誘導するために可能な限りの対策をします。
 理想的には、仲間の牛はみえるが隔離されており、きめ細かい乾いた砂を20cm厚に敷いた1頭なら15 m2前後の広さがあり、夏涼しく冬温もりのある、ヌレ仔の移動も容易な、そんな場所で自由分娩させられるなら最善でしょう。
 何故なら、安心で、衛生的で、胎位を調整でき、自然分娩で子宮等に無理がなく、娩出子を舐められ、何かトラブって寝込んでも血の巡りがよくてしびれず、きわめて容易に寝起きでき、介添えや治療や移動も簡単にできるからです。
 分娩管理の基本は、『監視すれど関与せず』の概念です。意識的な観察はするが、介助や医術を要するラインまでは条件を整え何もしないやり方です。ただし駄目とみたら素早く適切な対応をする臨機応変さがいります。
 どこの場所を使おうと、この理想に少しでも近い状況をつくることです。

 牛舎や周辺にこの理想に近い場所はないか、もしあれば利用します。どうしても繋いでいる場所での分娩しかさせられないとしても、わずかでもこの理想に近づく努力をします。隣牛を移動したり、綱をゆるめたり、尿溝上にスノコを掛けたり、多量の敷料を敷いたり…できることはすべてやります。それくらい安産は大きな利益の源泉なのです。

3.手抜きデタラメ管理の発見

 たいせつな技術をずさんに行い、経営を大きく狂わせている場合が多々あります。マサカ!と思うようなことが意外にあります。
 みてわかるようなことはすぐ気づきます。しかし、聞かないとわからないことは聞くまで対策が遅れます。そのためには、以下のようなことを早い時点で、順序だてて詳細に聞き取ります。

1.誕生から初産分娩まで

 ヌレ子管理、初乳給与、哺乳量と期間、スターターの給与法、離乳法とその後の管理、濃厚飼料の給与内容、ビタミンやミネラルのやり方、初回種付け時期、分娩前の飼料内容、経産牛と同居させるタイミング…などよーく聞いてみること。

 初乳がほとんど与えられていなかったり、3ヵ月も飲ませていたり、大量のビタミン剤を与えていたり、発育と関係なく同じ月齢で種付けしたり、分娩前に濃厚飼料がわずかしか与えられていなかったり、その逆に5〜6 kgも給与されていたり、それまで自由行動していた牛が分娩直前に突然つながれたり…まだまだあります。

2.分娩から次の分娩まで(乳期)

 分娩介助法、分娩後の搾乳法、出荷するタイミング、飼料とくに濃厚飼料や添加物の種類と量とやり方、繁殖管理法、淘汰のタイミング、個体の販売方法、疾病処置のタイミング、乾乳法や乾乳期間、乾乳牛の管理とくに飼料の給与法と内容…しっかり聞きだすこと。

 胎子の蹄さえでればすぐに引張ったり、分娩後4〜5日もかけてチョロチョロ搾り、出荷まで5〜6日もかかったり、とんでもない量のビタミン剤や添加物をやっていたり、かなりの期間ミネラル剤をやってなかったり、濃厚飼料をすべての牛にほぼ同量やっていたり、濃厚飼料の給与量を産褥期のある日に突然日量4〜5kg以上も増給したり、分娩後10日で10 kg以上の濃厚飼料を与えたり、経産牛も初産牛も同じペースと量でたくさんの濃厚飼料をやったり、分娩後3ヵ月までは種付けをしなかったり、分娩後1年以上も経ってまだ受胎不明牛がゴロゴロいたり、乾乳期間が超長かったり短かかったり…細かく聞けばかなりな数の驚くことがあります。

3.一日の管理法

 朝入舎してから夜出舎するまで、タイムテーブルにして、搾乳牛に関し、飼料や添加物のやり方を中心に克明に調べます。

 搾乳時間、担当者、粗飼料の種類と量とタイミング、濃厚飼料や中間的飼料や添加物などの種類と量とタイミング、舎外にだす時間と状況、残飼の状態…を聞き取ります。
 朝と夕で濃厚飼料の種類がまったく異なったり、朝に圧ぺんコーンをやり夕に大豆粕ミールを与えたり、1回に5kg以上も濃厚飼料を与えたり、粗飼料はやった瞬間に喰い終わっていたり、分離給与と称して2時間くらいの間に濃厚飼料を3kgずつやったり…ウーン! ということがいっぱいあります。

4.その他にも、季節による変化、圃場管理の実態、飼料調製やその添加物、購入飼料の買い方…聞いてみる価値があります。
 いずれにしろ、常識的には考えられないことが重なって、経営の困難を加速している場合もあります。このようなチェック能力も高めておきたいものです。

 次回は生産状況のチェック技術を中心に書きます。

(筆者:北海道十勝北部地区農業改良普及センター主査)