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指導支援部門・最優秀賞



乳肥農協組合のみなさん
  宮崎県宮崎市
宮崎県乳用牛肥育事業農業協同組合
(代表:代表理事組合長 岩黒輝男)
後継者への夢をつなぐ乳肥専門農協の支援
―世代交代に向けた経営戦略・管理の支援システムー

宮崎県乳用牛肥事業農業協同組合は、「組合員を脱落させない」という強い運営理念のもと、肥育技術の確立、購買・販売等の協同組合事事業、および組合員の資金管理や事業内容の把握、定期的な巡回指導等を行い、さまざまな困難を乗り越えながら、大規模の肥育専業経営者群を育成してきた。さらに平成になってからは、技術試験や実証展示を行うほか、時代を先取りした販売戦略にも取り組むなど、組合員の生産を取り巻く総合的な支援活動を行っている。

当農協は、陸稲や甘藷等の畑作主体の営農形態から乳用種肥育事業への転換を図ろうとする県内の旧開拓農協組合員が中心となり、当時はまだ酪農の副産物としての評価しかされていなかった乳用種雄子牛の肥育に取り組む専門農協として昭和47年に発足した。まだ肥育技術も十分確立されていなかったうえに、オイルショックや飼料穀物危機にさらされ、その後も牛肉の輸入自由化、最近でも口蹄役やBSEの発生など多くの困難に遭遇してきたが、一つ一つの課題を克服してきた。成果としては、組合員1戸当り飼養頭数を結成当時の35頭から平成15年の平均560頭という大規模経営に育てるとともに、スタート時にほぼゼロに近い状態であった自己資本も15年現在で、1戸当り平均6千万円と高いレベルに達している。組合員数は、当初の75戸から平成16年現在33戸と減少しているが、経営破たんで離脱した例はなく、また現在、子弟が就学中の場合を除いてほとんどの組合員に後継者が確保されている。

特徴的な活動としては、第1に、経営資金対策である。発足当初、多大な運転資金を要するものの信用力不足であった組合員の経営活動を補完するため、組合が融資をうけた資金を転貸する事業を開始した。この組合と組合員が一体となった転貸事業の展開を機に、全組合員の経営状況を正確に把握しつつ経営指導を行うことの必要性を強く認識し、組合員の総意のもとに資金管理を徹底させるため、購買・販売内容の詳細把握、定期的な巡回・実績検討等を行う支援のしくみを構築し、現在に至っている。

第2は、生産コスト低減の推進である。自己資本に乏しかった組合員が経営への投資額を抑えられるよう古電柱利用のコスト牛舎の推進と建設等の共同作業の体制をつくりあげ実施してきた。さらに組合の支援メニューとして飼料給与別やモト牛産地別の肥育成績の確認等各種実証試験を行うなど、技術面で組合員のリスク回避的な役割を担っている。

第3は、差別化商品による販売戦略である。安全・安心に対応する差別化商品として「ハーブ牛」の生産に取り組み、平成14年よりその販売を開始している。現在では組合員が生産する約2万頭がマニュアルに基づく肥育が行われ、県内シェアの2割に相当する約1万頭の肥育牛を出荷しており、生産から販売までの一貫した生産・販売体制が購買者から高い評価を受けている。

以上のように、当組合の支援活動は、安定した組合員経営と産地の発展をもたらした。