6. 経営成果の要因と課題
[1] 市場価格の推移
東京中央卸売市場の豚枝肉1kg当たり平均卸売価格は8年度458円、9年度446円で、9年度は8年度に対して2.6%減となった。本調査でも8年度平均460円、9年度平均450円で、2.2%減となり、ほぼ同様な価格で推移していた。当然ながら市場価格は販売収入の増加あるいは低下の要因として経営の収益に大きく影響している。
[2]最近5年間の収益動向
豚肉価格は低迷が続いた平成5年度は肥育豚販売収入の低下を招き、経常利益で赤字となった。6年度はやや改善され、7年度は経常所得で4年度の水準に回復した。豚肉価格が回復した8年度は7年度よりも好転し経常所得では近年で最も高い水準になった。9年度はやや低下し経常所得は7年度並となった。
[3]売上原価の比較(8,9年度)
豚肉価格が高くなった8年度は、購入飼料費の増加があったにもかかわらず高い利益を出していた。9年度の8年度に対する種雌豚1頭当たりの売上原価の増加も、購入飼料費の増加の割合が大きいが、肥育豚1頭当たりでは逆に減少している。これは種雌豚1頭当たりの出荷頭数の増加が影響している。
[4]売上原価の比較(7,9年度)
9年度は豚肉価格が7年度水準より高いにもかかわらず経常所得は7年度並となった。これは売上原価の約60%以上を占める購入飼料費が、9年度は7年度に対して17.7%も増加しており、売上原価を7.8%増加させたことが影響している。種雌豚1頭当たりの肥育豚販売頭数は、9年度18.0頭、7年度18.4頭であることから、購入飼料費の増加は、飼料購入量の増加ではなく、購入飼料価格の上昇が要因となっている。
[5]8,9年度の所得階層上位の特徴
売上高および売上原価も高いが、売上総利益、営業利益、経常利益、経常所得も多い。繁殖成績、肥育成績が良く、種雌豚1頭当たりの肥育豚販売頭数が多く、肥育豚1頭当たりの販売価格も高い。とくに事故率はきわめて低く差が認められた。
(多販売,高価格、高繁殖性、低事故率)
豚の家畜生産性は繁殖(生産)技術と肥育(管理)技術の要因から構成され、最終的には種雌豚1頭当たりの肥育豚販売頭数が増加することで収益となる。
[1]繁殖(生産)技術の留意点
哺乳開始頭数、離乳育成率、離乳頭数
[2]肥育(管理)技術の留意点
事故率、1日平均増体重、肥育回転率、
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