2.成鶏飼養羽数規模別分析(平成9年度)
データについては,「成鶏飼養羽数規模別集計」を参照。
最大規模層は5万羽以上,最小規模層は3千羽未満。
(1)収益性
家族労働力1人当り経常所得
:経営規模との関係は必ずしも明確ではないが,最大規模層は突出して高い。
1羽当り経常所得
:経営規模と反比例の関係にある。
(2)収益性を規定する要因
平均卵価
:経営規模と反比例の関係にある。
最大規模層(168円)と最小規模層(291円)との間の格差は123円。
飼料要求率
:経営規模が大きいほど優れている。
(3)生産性
労働生産性,施設生産性ともに経営規模が大きいほど優れている。
(4)経営成果の格差要因
表2:家族労働力1人1日当り所得の規模間格差(平成9年度)
|
成鶏飼養羽数 |
倍率 |
5万羽以上 |
1〜3千羽 |
以上:a |
:b |
:a/b |
家族労働力1人当り年間経常所得
(千円):c |
10,878 |
4,061 |
2.7 |
成鶏100羽当り年間経常所得
(千円):d |
33 |
213 |
0.2 |
家族労働力1人当り成鶏飼養羽数
(羽):c/d |
32,877 |
1,907 |
17.2 |
家族労働力1人1日当り所得=家族労働力1人当り飼養羽数×1羽当り所得
経営規模が大きくなると,1羽当り所得は低下するものの,それを凌ぐ労働生産性の向上によって,1人当り所得が増加する。
表3:経営規模と成鶏100羽当り所得の格差要因(平成9年度)
単位:円,% |
|
成鶏飼養羽数 |
格差:a-b |
寄与率 |
1〜3千羽:a |
5万羽以上 |
鶏卵販売収入 |
530,749 |
292,990 |
237,759 |
132.2 |
その他売上高 |
57,940 |
4,264 |
53,676 |
29.8 |
もとびな費 |
23,969 |
38,490 |
-14,521 |
8.1 |
購入飼料費 |
230,831 |
166,568 |
64,263 |
-22.9 |
雇用労働費 |
0 |
13,571 |
-13,571 |
4.8 |
診療医薬品費 |
540 |
3,950 |
-3,410 |
1.2 |
電力水道費 |
3,706 |
5,842 |
-2,136 |
0.8 |
燃料費 |
4,988 |
709 |
4,279 |
-1.5 |
減価償却費 |
28,107 |
18,136 |
9,971 |
-3.6 |
修繕費 |
3,492 |
7,453 |
-3,961 |
1.4 |
小農具費 |
3,898 |
634 |
3,264 |
-1.2 |
消耗諸材料費 |
831 |
1,147 |
-316 |
0.1 |
販売経費 |
10,938 |
10,428 |
510 |
-0.2 |
その他一般管理費 |
60,795 |
6,313 |
54,482 |
-19.5 |
成鶏100羽当り所得 |
212,949 |
33,086 |
179,863 |
100.0 |
注)すべての費目を網羅してはいない。 |
1羽当り所得に大きな影響を与えるのは,1羽当り費用の格差よりも1羽当り収益の格差である。
規模拡大によって,1羽当りの収益および費用はともに減少するが,収益の減少の方が大きい。
規模拡大による費用低減は,購入飼料費や減価償却費の低下がその効果が大きいが,もとびな費や雇用労働費などは逆に増加している。
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