6.収益性の規定要因(平成9年度)
収益性の高い経営とは,極端に優れた点はなくても,生産性,生産技術,販売力の各要素のバランスがとれて安定している経営である。
(1)家族労働力1人1日当り所得
データについては,「家族労働力1人1日当り所得別集計」を参照。
1人1日当り所得が最高である階層(25,000円以上)の特徴:
平均飼育羽数は平均的規模である。
労働生産性,飼料要求率などの点が優れている。
生産費用,とくにもとびな費や購入飼料費が低い。
販売価格は高くはなく,その他にとくに目立って優れている点はない。
表6:家族労働力1人1日当り所得の格差(平成9年度)
|
家族労働力1人1日当り所得 |
倍率 |
25,000円 |
0〜5,000円 |
以上:a |
:b |
:a/b |
家族労働力1人当り年間経常所得
(千円):c |
7,214 |
778 |
9.3 |
出荷100羽当り年間経常所得
(円):d |
8,171 |
2,903 |
2.8 |
家族労働力1人当り出荷羽数
(羽):c/d |
88,288 |
26,800 |
3.3 |
労働力1人当り所得の格差は,1羽当り羽数の格差によりも,1人当り所得の格差によるところの方がやや大きい。
(2)出荷羽数100羽当り所得
データについては,「出荷羽数100羽当り所得別集計」を参照。
100羽当り所得が最高である階層(8千〜1万円)の特徴:
購入飼料費が低い(27,221円:平均の約80%)。
育成率,飼料要求率ともに優れている。
1人当り平均飼育羽数(11,862羽),1人当り年間出荷羽数(63,132羽)は平均的である。
出荷羽数100羽当り労働時間は短い(3.7時間:平均の約80%)。
販売価格は高くはなく,むしろ平均よりも低い(165円:平均より−10円)。
雇用依存率は低い。
表7:出荷100羽当り所得の格差要因(平成9年度)
単位:円,% |
|
出荷100羽当り所得 |
格差:a-b |
寄与率 |
8千〜1万円:a |
マイナス:b |
肉鶏販売収入 |
46,648 |
46,902 |
-254 |
-2.2 |
その他売上高 |
855 |
0 |
855 |
7.5 |
もとびな費 |
7,669 |
9,864 |
-2,195 |
19.3 |
購入飼料費 |
27,221 |
28,854 |
-1,633 |
14.4 |
雇用労働費 |
853 |
1,419 |
-566 |
5.0 |
診療医薬品費 |
956 |
548 |
408 |
-3.6 |
電力水道費 |
830 |
1,691 |
-861 |
7.6 |
燃料費 |
375 |
1,768 |
-1,393 |
12.3 |
減価償却費 |
1,120 |
1,169 |
-49 |
0.4 |
修繕費 |
430 |
988 |
-558 |
4.9 |
小農具費 |
190 |
161 |
29 |
-0.3 |
消耗諸材料費 |
242 |
213 |
29 |
-0.3 |
販売経費 |
92 |
1,176 |
-1,084 |
9.5 |
その他一般管理費 |
648 |
1,853 |
-1,205 |
10.6 |
出荷100羽当り所得 |
8,742 |
-2,623 |
11,365 |
100.0 |
注)すべての費目を網羅してはいない。 |
100羽当り所得の最高階層とマイナス階層との間の格差(費目による検討)
所得格差の90%は費用面の格差により,もとびな費,購入飼料費の格差による影響が大きい。
収益面での格差は小さい。
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