2.技術分析

 表2:技術指標の経営間格差

出荷体重

育成率

飼育日数

飼料要求率

6.85

2.24

10.55

9.60

注)平成8,9年度の調査対象からデータが得られる42戸について計算した。
  数値は,標準偏差/平均値×100である。

異なる経営間の技術格差は,飼育日数,飼料要求率においては大きく,育成率においては小さい。
 経営外で決定される技術条件に大きく左右されていると考えられる。

3.出荷羽数規模別分析(平成9年度)
 データについては,「出荷羽数規模別集計」を参照。
最大規模層は20万羽以上,最小規模層は1万羽未満。
(1)技術成果
育成率は,最小階層で低く,最大階層でもやや低いほかは規模間格差は少ない。
 出荷体重,出荷回転率において階層間のばらつきが大きい。例年は,規模拡大とともに低下する傾向が見られた。
 飼料要求率は,規模拡大とともに改善する傾向があるが,最大規模層ではやや悪化。
(2)経営成果
 販売単価は,規模拡大とともに低下する傾向にある。
 最小規模層( 225円)と最大規模層( 170円)との間で55円もの差が生じている。
 収益性を家族労働力1人当り所得と出荷 100羽当り所得で見ると,最も優れていたのは上から3番目の階層(5万〜10万羽層)であった。
労働生産性,施設生産性はともに,規模拡大とともに向上する傾向にある。
(3)経営成果の格差要因

 表3:家族労働力1人1日当り所得の規模間格差(平成9年度)
         出荷羽数 倍率
20万羽以上 1〜3万羽
以上:a :b :a/b
家族労働力1人当り年間経常所得
(千円):c

3,215

908

3.5

出荷100羽当り年間経常所得
(円):d

3,733

4,839

0.8

家族労働力1人当り出荷羽数
(羽):c/d

86,124

18,764

4.6


家族労働力1人1日当り所得=家族労働力1人当り飼育羽数×1羽当り所得
経営規模が大きくなると,1羽当り所得は低下するものの,それを凌ぐ労働生産性の向上によって,1人当り所得は増加,もしくは一定水準を維持している。

表4:経営規模と成鶏100羽当り所得の格差要因(平成9年度)

    単位:円,%

   

出荷羽数

格差:a-b

寄与率

1〜3万羽:a

20万羽以上
肉鶏販売収入

56,132

52,366

3,766

340.5

その他売上高

453

2,264

-1,811

-163.7

もとびな費

8,120

7,900

220

-19.9

購入飼料費

38,998

33,856

5,142

-464.9

雇用労働費

0

130

-130

11.8

診療医薬品費

1,075

853

222

-20.1

電力水道費

1,013

2,050

-1,037

93.8

燃料費

960

149

811

-73.3

減価償却費

1,878

1,174

704

-63.7

修繕費

345

335

10

-0.9

小農具費

125

73

52

-4.7

消耗諸材料費

269

115

154

-13.9

販売経費

997

1,540

-543

49.1

その他一般管理費

778

1,825

-1,047

94.7

出荷100羽当り所得

4,839

3,733

1,106

100.0

注)すべての費目を網羅してはいない。

規模拡大とともに,1羽当り収益(とくに肉鶏販売収入)が減少する一方で,1羽当り費用(とくに購入飼料費)も減少するため,1羽当り所得の格差はあまり大きくはならない。


  

[ 前 項 | H O M E | 次 項 ]