大家畜部門 最優秀賞・農林水産大臣賞
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「低コスト化」追求で安定経営を築く子牛生産
鹿児島県大崎町 藤岡数雄・美江子さん
(肉用牛経営)
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藤岡さんの経営は、鹿児島県の代表的な子牛生産地帯の大隅半島のほぼ中央に位置する。肉用牛経営の開始年次は藤岡さんの結婚翌年の昭和51年で、最初は手作り牛舎で7頭から始めている。平成元年に40頭まで拡大した段階で肉用牛専業経営に転換した。藤岡さんは今日まで牛舎の大半は手作りで建築し、飼料作物も増頭に併せて購入・借地で拡張し、一貫して低コスト経営を目指している。
藤岡さんの経営の特徴をあげると、第1に自己資本をベースに着実な規模拡大を行い、畜舎施設はほとんど手作りをしている。第2に高能力牛をいたずらに追わずに自家保留を主体として増頭している。第3に飼料作が自作地6ha、借地7.5haの計13.5haと充実しており、また今年は19haまで拡大する。第4に試験研究の成果をもとに未利用資源である焼酎粕を無料で入手、自作の配管施設を考案して飼料費の節減を行っている。第5に昼間分娩に向けての1日1回給餌、人工哺育や除角等を行って省力的管理をしており、その結果、分娩間隔11.8ヵ月と連産性を確保している。第6に機械等の保守点検を徹底し、30年使用のトラクターも現役で活用することにみられるように設備投資・機械投資が少ない。第7に効率的な作業体系の追求で1頭当たり飼育管理時間が48時間と少なく、多頭経営にもかかわらず、労力的にゆとりある肉用牛経営を行っている。
以上のような努力の結果、家族労力3人で13.5haの飼料畑で75頭の繁殖牛を飼い、総所得1340万円、成雌牛1頭当たり18万円、所得率58.7%というすばらしい経営成果をあげている。また、子牛の生産コストも17万円と安い。ふん尿処理もブロワー付きたい肥舎で発酵処理し、飼料畑に還元し全く問題なく行われている。藤岡さんの経営は平坦畑作台地で経営立地条件にも恵まれ、広々とした畜舎施設・パドックが配置され、理想的な多頭繁殖経営を行っている。
今年8月には長男も会社を辞めて就農、これまで働いた次男が経営を独立し、すでに40頭を導入し、将来、夫婦と長男で150頭、次男が50頭を目指しており、現在よりひとまわり大きな経営への発展が期待される経営をいえる。
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