大家畜部門 優秀賞・生産局長賞


木戸卓仁さんの代理で発表する長男の譲己さん

20年後も、酪農家であり続けるために
 兵庫県宝塚市 木戸卓仁・和子さん(酪農経営)

木戸さんは酪農2代目で昭和39年に宝塚市内から現在地の畜産団地に移転し、酪農部門の規模拡大と同時に昭和49年より自家産子牛の肥育を始め乳肉複合に転換した。さらに昭和60年からは肥育は黒毛和種に切り替え現在に至っている。現在はフリーストール・パーラー方式で経産牛140頭、育成・その他で50頭の計190頭の乳牛と黒毛の肥育牛70頭を飼養する大型乳肉複合経営である。

木戸さんの経営の特徴をあげると、第1に全面購入飼料依存型ではあるが、大型の自走式TMR機、哺乳ロボットを使い、省力的飼養管理を行っている。肥育牛も自動給餌機を使い徹底した省力化を行い、1頭当たり72時間の労働時間である。第2に木戸さんも藤岡さんと同じく平成6年のフリーストール牛舎転換後、急激な規模拡大を行っているが、手作りの低コスト牛舎で大型経営にもかかわらず借入金残高が719万円と少なく、財務状態が良い。第3に現在の労働力構成は自家労力3人と雇用2人の5人体制で週休制をとり、ゆとりある経営を行っていること。第4にふん尿処理も8戸でたい肥組合を結成し、コンポストを牧場内に設置し、製品は地域の花木経営や耕種農家に販売し、地域循環農業の中核的な役割を果たしている。第5に牛乳は差別化が難しいといわれているが、木戸さんは平成11年に独自でタンクローリーを購入し、自分で工場出荷し1kg4円高の乳価を実現している。第6に近畿圏内の9戸のメガファームの仲間とグループづくりを行い情報交換をしていること。第7に平成6年のフリーストール、TMR体系への移行後1頭当たり乳量も着実にあがり現在9387kgの高乳量で乳質もすぐれている。

こうした経営努力の結果、経営成果としては酪農部門所得3320万円、肥育部門440万円と合わせると合計3760万円の立派な成績をあげている。今後、経産牛200頭、肥育120頭への規模拡大を計画し、名実ともにメガファームとして飛躍を図ろうとしている。あえて問題点をあげるとパーラー内処理水の浄化問題が課題としてあげられる。