大家畜部門 優秀賞・生産局長賞

“牛づくり、草づくり、土づくり”
日本一の酪農経営を目指して

埼玉県妻沼町 青木雄治さん(酪農経営)

 青木さんの経営を一言でいうと、牛づくりと河川敷の活用による地域資源活用型酪農経営と特徴付けられる。

 青木さんの経営は他の方に比べてスタートが比較的早く、昭和23年にお父さんの代に子牛の導入から始め、本人の経営参加は昭和39年である。本人は就農当時から牛群の改良に力を注ぎ、今年、県下初のエクセレント牛を作出している。搾乳牛すべてが自家産で、平均乳量が1頭当たり 9525sという立派な技術成績を残している。

 一方、都市化の厳しい埼玉県で利根川の河川敷を活用し、20haの草地を活用して通年サイレージの給与を行っている。それから、地域が水田裏作の麦作地帯であるため、たくさん出る麦稈を活用している。

 畜舎をみると、北海道並みに豊富な敷料が入っている。広いパドックとともに、牛の健康づくりに配慮していることがうかがえる。

 経営成果としては、労働力は夫婦と長男の3人。奥さんにはあまり畜産を手伝わせたくないと哺育を中心に手がけているが、経産牛37頭と育成牛27頭を3人で労力的に余裕をもって飼養している。

 年間所得 は1534万円、経産牛1頭当たり42万円、所得率44.4%。この1頭当たりの所得、あるいは所得率はすばらしい成果である。

 青木さんも、借受金残高はわずか 194万円で、財務の安定性には全く問題はない。ただ、問題点としてあえて指摘すると、河川敷が飼料基盤なので、どうしても洪水等による草地の冠水害によって河川敷草地の草の質、量に年次変化がある。そして繁殖成績のよしあしによって、年間の乳量変動がみられるという問題点を残している。これは、じゅうぶん本人もわかっている点である。

 たい肥の処理については万全を期しているが、どうしても近隣野菜農家の利用の繁閑によって若干滞貨ができる。本人もたい肥舎を増築したいといっていたが、あえて問題を指摘すれば以上である。