肉用牛経営の収益動向と要因分析
 

 石川 巧(財団法人 日本農業研究所)


繁殖経営の分析

1.データの制約について
 繁殖経営の分析にあたっては、平成8年度、平成9年度に決算期を迎えた畜産経営診断対象のデータを用い、複合経営を除いた繁殖専門経営を分析対象としている。対象経営は平成8年度が114戸、平成9年度が108戸で、地域別には九州、東北地方を中心とした繁殖経営の主要生産地を中心に収集されている。ただし、主要地域の中に含まれるべき中核的な都道府県のデータが含まれていないこと、あるいは繁殖経営の新興産地である北海道のサンプルが含まれていないこと、年次別のデータには継続性が無いなどの制約がある。
 また、対象経営の成雌牛の平均飼養頭数は平成8年度が20.0頭、平成9年度が18.0頭となっており、平成6、7年度の調査時(平成6年度14.4頭、平成7年度19.9頭)に比べ、やや増減があるものの大きな格差はない。さらに、平成9年度の成雌牛飼養頭数規模別の対象戸数は、「1〜5頭」が5戸(4.6%)、「5〜10頭」30戸(27.8%)、「10〜15頭」25戸(23.1%)、「15〜20頭」15戸(13.9%)、「20〜30頭」14戸(13.0%)、「30頭以上」19戸(17.6%)となっており、実際の繁殖経営の分布に比べ大規模層に偏っていることに留意して欲しい。


  

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