以上の検討結果を踏まえまして、開発した性判別キットの概要を示しました。
 まず、受精卵の一部を切り取り、DNAを抽出します。それを半分ずつに分けて、雄だけ増える反応と確認の反応をそれぞれ行います。雄だけふえる反応は、検出されれば雄、されなければ雌と判定するための反応です。一方、確認の反応は、雄、雌共通に検出される反応で、雄の反応が出なかった場合に、それが細胞やDNAの採取ミスではなく、雌であったために雄特異的な反応が検出されたなかったことを確認するための反応です。したがって、判定は、DNAがふえて白く濁り、両方の反応がプラスになる場合には雄、片方の確認の反応だけがプラスになる場合は雌と判定します。
 本キットの感度は、5細胞以上でほぼ100%であったことを踏まえ、仕様書では、細胞数10から20個に相当する受精卵の10%程度を用いるということにしております。ちなみに当畜試では、ここ最近の成績は安定しておりまして、2細胞でも100%の判定ができております。