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地域振興部門・最優秀賞


  秋田県北秋田郡合川町
あきた北央農業協同組合

(代表 佐藤 修助)
特産地鶏の生産振興と付加価値商品づくりによる地域農業の活性化
―秋田比内地鶏の生産・加工販売の取り組み―

 あきた北央農業協同組合(組合員 6,019名、代表理事組合長 佐藤修助氏)は秋田県北部の3町1村からなる広域合併農協である。
 地形的には、内陸で一部に平坦な台地を形成するが、農耕地の多くは段丘の激しい山間に開けている。冬季の積雪は多く、県内でも有数の豪雪地帯である。
 このような中で、農協事業に秋田比内地鶏を取り入れ、生産の振興から商品開発・加工・販売の一連の活動を通じ、消費者の信頼を得るとともに農家経営の安定と地域農業の活性化に努力し成果を上げてきている。
 秋田比内地鶏は、天然記念物に指定されている「比内鶏」を活用して、県が昭和48年から、交配する雌系の鶏とともに系統造成し、比内鶏を雄系として交雑試験を繰返し作出した交雑種で、県の特産品として位置付けられている。
 この活動は、稲作農業の政策転換によりその情勢が著しく厳しくなる中で、農家所得の維持向上のため、経営の多角化、複合化が進められ、地域に即した転作作物の導入・生産奨励が図られる過程で、昭和62年当時の1町1農協であった「合川町農業協同組合」の取り組みに始まっている。
 当初は、県の郷土料理「きりたんぽ鍋」の食材として新米の時期にあわせた季節生産的・副業的な取り組みが中心であったが、農協は町と連携して飼育施設の資材を無償貸与する一方、解体処理施設、加工処理施設を設置・拡充して飼養規模の拡大と周年生産化を可能にし、これを誘導支援してきた。
 この間、下部組織として「比内地鶏振興部会」を結成して県畜産試験場、農業改良普及センター等の指導とそれに基づく実証試験を反復し、生産者の自発的責任制のもとに徹底した生産管理と品質の斉一性、食味の向上に努め、販売店および消費者の高い信頼と評価を得てきている。
 また、販売にあたっては、首都圏を重点に拡大してきているが「販売あっての生産」を基本にしながら、周年消費促進と安定した販路の確保を図るため、独自の商品開発にも積極的に取り組み、現在では、売上の約60%が加工品の販売となっている。このような商品開発、販売ルートの開拓の結果、さらに米、野菜等その他農畜産物の販売促進にも大きな波及効果をもたらしてきている。
 農産物の多くが価格の低迷や販売の伸び悩み等不安定要素を抱え、畜産分野においても飼養戸数、頭数の減少がみられる中、地域資源を活かし農協を核として生産から商品開発による加工、販売まで一連の活動を続け、年々その売上げを伸ばしながら、生産者ともども信頼される産地確立に取り組む事例である。

 
簡易鶏舎(パイプハウス)
骨材(パイプ)は、町の協力も受けて、新規・規模拡大時に無償貸与し、農家負担の軽減を図っている。
  放し飼いされている比内地鶏
休耕田をロットごとに輪換して利用している。自然に帰すことが、絶妙な味の源となる。
     
 
「きりたんぽセット」用のきりたんぽ作り
きりたんぽ部会員により一本一本丹精込めて作られ、米の消費拡大、農家収入の向上に寄与している。
  取引先スーパー店頭でのPR販売
比内地鶏をはじめ、新鮮な農産物を消費者に直接販売している。生産者も店頭に立って、秋田弁で商品説明をし、懸命にPRに努めている。