HOME畜産大賞の概要平成12年度選賞事例一覧

経営部門・優秀賞


  宮崎県都城市
 前田 美雪
(肉用牛繁殖経営)
女性でもやれる肉用牛繁殖100頭経営
−合理的経営で若者の夢を実現−

平成11年度全国優良畜産経営管理技術発表会 最優秀賞
(主催 社団法人中央畜産会)

 前田牧場は、宮崎県都城市の山間部において、父親が肥育豚400頭(預託経営)、母親がブロイラー4万羽(預託経営)、美雪さん(26歳)が肉用牛繁殖100頭の経営を営んでいる。
 美雪さんは、平成3年地元高校(情報処理科)を卒業後、当時、父親が行っていた繁殖牛38頭のみの飼養管理を手伝っていた。その後、価格補償制度もあり、子牛価格がある程度安定している繁殖経営の拡大を父親に提案し、本人が中心となり毎年10頭増頭を目標に規模拡大し、平成10年には、一つの目標であった100頭規模を達成している。
 その間、「1人の労働力で如何に効率的に飼養管理を行うか」を常に考え、次のような色々な取り組みを実践してきた。
 まず、繁殖牛を増頭するには、それに見合った粗飼料の確保が重要であることから、遊休地、JAコントラクターをうまく活用し、併せて、労働力負担を考慮しながら、自給粗飼料増産に努めている。また、稲ワラ確保にも力を入れ、たい肥との交換等により、約8ha分の約32tの稲ワラの確保を行っている。
 繁殖管理は、種付け時期は分娩後2ヵ月までに行うことから、同時期の親牛と子牛を同じスペースで管理するこで発情発見を容易にし、また、1日1回給与により昼間分娩を促すことで事故率の低減にもつなげている。
 子牛育成は、同時期に生まれた子牛数頭で競り食いさせ、良質粗飼料を給与し、増体が良く商品価値の高い子牛生産を行っている。
これらの取り組みにより、成雌牛1頭当たり年間労働時間28.6時間の肥育経営並の労働時間で、成雌牛1頭当たり年間所得141千円の高い所得を上げている。
 その他、平成5年から参加していた農業青年組織であるSAP(Study for Agricultural Prosperity 「農業繁栄のための学習」会員数約600名)に積極的に参加して、平成10年には県副理事長に就任している。
 平成11年11月には、悟氏と結婚、現在では、将来目指している一貫経営の勉強の一つとして、試験的に老廃肥育等を取り入れ、経営の更なる充実を図っている。

 
妊娠時期はつなぎ牛舎で飼養
個体管理を容易にするためにつなぎ式牛舎を利用している。
  稲ワラはカットしないで給与
省力化を図るために稲ワラはカットしないで給与している。
     
 
分娩間隔短縮を目指した牛舎の
ローテーションの工夫
種付け時期は子牛分娩後2ヵ月までに行うことから、その時期の親牛と子牛を同じスペースに集めることで発情発見を容易にしている。
  子牛の集団飼養
同時期に生まれた子牛数頭を同じスペースに入れ、良質粗飼料を競り食いさせている。