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本川 角重さんご夫妻 |
大分県日田市 本川 角重(酪農・肉用牛生産) 地域資源の活用と先進技術で築く、雇用型大規模畜産経営 第49回全国農業コンクール 名誉賞 (主催:毎日新聞社、財団法人富民協会) |
有限会社本川牧場は日田市郊外にあり、経産牛637頭、初任牛、育成牛161頭を飼養し年間生乳5,800tを出荷している大規模酪農経営である。また、子牛の価値向上をねらい乳牛による肉用子牛生産にも取り組み、黒毛和種雌70頭、和子牛149頭、F1子牛276頭を飼養している。平成11年度の農業粗収益は64,785万円(うち生乳販売代53,949万円)、生乳生産費は約76円/kgとなっている。 労働力は夫婦2人、常時雇用12人(飼養管理)、臨時雇用16人(搾乳作業)で、1頭当たり平均乳量は8,870kg、分娩間隔も383日前後と優れた成績をあげ、子牛の事故率は低い。 飼料は、別に所有する産業廃棄物処理業を営む(株)ホンカワで生産した副産物利用の発酵混合飼料(TMR)で、これを牧場の乳牛飼料として購入、給与している。このTMRは依頼分析した成分値をもとに、適正な飼料設計により混合されたものである。 乳牛はフリーバーン方式で群飼育されるが、適切な牛舎構造によって牛床や敷料は良く乾燥し、また、舎内の清掃を徹底するため、牛体の汚れは少ない。搾乳牛には個体識別装置を装着して乳量や乳質、さらに歩数を記録して個体管理を行い、繁殖や健康の管理に活用している。また、肉用子牛も自動哺乳装置によって綿密に群飼育している。搾乳は20頭複列のヘリンボーン・ミルキングパーラーで1日3回行うが、適正なマニュアルに基づき臨時雇用者に作業を担当させている。繁殖管理では発情同期化、受精卵移植、人工授精、自然交配の技術を組み合わせた独自の技術体系により高い受胎率を得ている。 雇用労働を中心としながら高度の飼育管理技術を駆使し、大規模牛群の性能をうまく発揮していることは注目される。 また、無農地のため多量のふん尿はバークたい肥として周辺の果樹農家などに販売(年間3,000t)、搾乳牛1,000頭規模の今後の増頭計画分は、現在造成中の日田市共同堆肥センターを利用する計画である。 このように本川牧場は、地域資源の飼料的活用を科学的知見をベースに実行し、同時に優れた飼養管理技術を導入して高い生産性を発揮し、また、ふん尿処理、環境対策にも十分対応するなど、新しい地域資源活用型酪農の類型として高く位置付けられる。本川氏の酪農の指導に対する評価は高く、今後とも地域振興のリーダーとしての活躍が期待されている。 |
フリーバーン牛舎内 高い天井、直下型換気扇、細霧装置などにより年間を通じて快適な環境を維持している。 |
20頭ダブルのミルキングパラー パートによる3回搾乳を実施している。 |
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乳牛への受精卵移植により生まれた和牛子牛の哺育舎 平成5年から受精卵移植に取り組んでいる。平成11年には子牛の事故率低下と増体向上を目的に哺乳ロボット(右奥室内)を導入した。 |
食品副産物を利用したTMR工場 焼酎粕などを混合したTMRをトランスバックに詰めて調製、保管、給餌をしている。これにより、計画的な飼料生産管理を可能とし、運搬、給餌作業も効率的となった。 |