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熊本県阿蘇郡産山村 上田尻牧野組合(代表 井 国興) 草資源を活かし 肉用牛とともに歩む、ムラつくり。 |
上田尻牧野組合(組合長 井 国興)は、九州のほぼ中央に位置し、大分県久住町に隣接した高原地帯(標高500〜1,000m)に広がる牧野組合である。現在180頭の成雌牛と85頭の肥育牛を飼養している。 肉用牛生産を中核とした農業経営の展開を図るため、昭和54年に広域農業開発事業に取り組んだ。牧場建設は集落(48戸)が利用権を持つ入会地480haを対象として、事業参加者(24戸)と不参加者の間で農用地利用増進法(当時)による制度を活用した入会権調整がなされた。 事業参加者24戸が 上田尻牧野組合を組織し、個別経営と牧野管理作業の労働競合を回避するため、作業班編成による合議制を基本とした民主的な体制で組織を運営してきた。 子牛生産は子牛市場の相場により大きな販売額に変動があるため、子牛生産の経営が安定しにくい要因となっていることから、上田尻牧野組合では組合員が生産した子牛(去勢)を6〜8ヵ月齢で250千円で買い上げ牧場で肥育することとした。 九州農業試験場や県畜産試験場が開発した『前期粗飼料多給肥育技術』により、あか牛の特性を活かした肥育牛を生産している。豊かな草資源を利用して生産された枝肉は、脂肪交雑を重視する一般的な市場ではなく、愛知県犬山市の食品業者を通じて、健康や環境を重視する消費者へ供給しており、年数回の生産者と消費者の交流を重ね消費者ニーズにあった牛肉作りを目指している。 牧野の適正な管理は阿蘇地域の草原を守り、水をも守っている。牛を飼うための適正な牧野管理が阿蘇を訪れる年間1,200万人の観光客に安らぎを与えているといっても過言でない。 あか牛は子牛価格が低下傾向にあり苦戦を強いられているが、上田尻牧野組合では集団の力と創意工夫により、古くから阿蘇地域に根ざしてきた、あか牛の特性を活かしながら草資源を活用した地域農業を展開している。 |
あか牛の放牧 上田尻方式と呼ばれる「2群後追い放牧」「ASP技術による周年放牧」などの放牧技術は、阿蘇地域の肉用牛生産に大きな影響を及ぼしている。 |
「前期粗飼料多給方式」肥育されているあか牛 昭和61年より、子牛生産から肥育までの地域一貫体制に取り組んでおり、前期粗飼料多給方式を採用。購入飼料費の低減を実現している。 |
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牧野運営を支える女性 牧野組合の運営のみならず、産山村の活性化にも女性の力はなくてはならないものとなっている。 |
牧野の適正管理によって守りつづけられている「池山水源」 名水百選にも選ばれている「池山水源」は、組合員のみなさんの適正な牧野管理、清掃活動によって、その環境が維持されている。 |