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みどり牛乳農業協同組合 代表 伊藤 敏之 氏 |
愛知県半田市 みどり牛乳農業協同組合(代表 伊藤敏之) 酪農家の活力を生み出して発展する産地 −酪農王国を支えるみどり牛乳農業協同組合− |
みどり牛乳農業協同組合(以下「みどり牛乳」)は昭和32年4月に知多牛乳生産農業協同組合としてスタートし、昭和56年1月に時代にマッチした名称へと変更したもので、現在1市5町の組合員(162名)により構成されている。 みどり牛乳は「酪農業が地域の産業として持続的に発展すること」を命題として、今日まで役職員はもとより組合員の創意工夫を結集し、若者の活力を活かしてその時々に必要な数多くの課題を克服してきた。 その特徴は取り組み方にあり、先進的な問題解決には事業主体として表に出るのではなく、その問題解決に意欲を持って賛同した組合員に任意の組合を結成させ、選出された役員を中心に関係者が一体となり、苦難を一つ一つ乗り越えて事業化したことである。 この方式は、一般の農協に見受けられる「困った事は農協に依存する」という甘えの構造ではなく、積極的に自分達で解決する姿勢がいくつかの任意組合の設立へと発展した。 また、みどり牛乳は資金助成制度を設け、組合員の競争意欲を醸成することにより、生乳の需要量増大を背景にした規模拡大に、新しい技術への取り組みがスムーズに行われ、他の地域に先がけ専業酪農への道を歩むことができた。 乳牛飼養頭数は(H12.8.1調べ)平均85.4頭/戸と全国的に見ても有数の大規模な経営が行われている。 また、組合員の66.5%が乳肉複合を行っており平均126.8頭/戸の肉用牛を飼養し所得の増大が図られている。その結果、後継者が育ち全国的に後継者問題が叫ばれる中、戸数に占める40歳以下の割合は62.6%と高い。 みどり牛乳の支援指導は「競争と協調」「分業化と協業」「社会への貢献」がキーワードとなっており、その成果を以下に述べる。 (1) 生乳の有利販売……ブランド化への推進 安全・安心・新鮮な乳製品を学校給食を始め、県内消費者に提供し高い評価を得るとともに、消費者との結びつきにも大いに貢献している。 (2) 新春酪農放談会……自由な意見・発言の場、解決策の検討の場 自由な意見・発言の場、解決策の検討の場、酪農家の問題提起の場として新春酪農放談会を開催し、組合員からの要望を早期に事業化した。 (3) 共同飼料配合所……給与飼料の平準化とコスト低減 規模拡大の一助として飼料の協業化を目的に、昭和51年に半田市酪農組合が共同飼料配合所を建設し、組合員が利用することにより飼養管理技術の高度化につながり、この取り組みは2地区に広がっている。 (4) ヘルパー利用組合……ゆとりの創出 国庫補助事業に先駆け、昭和52年半田市酪農ヘルパー利用組合を設立し、引き続いて2組合で稼働している。 (5) 乳肉複合経営……所得の拡大 行政の指導方針をいち早く取り入れ、乳肉複合経営に取り組み、肉牛部会の設立、ブランド化により所得の増大を図ったこと、並びにみどり牛乳の出資金取り扱い方式が親子の分業につながり世代交代を推進した。 (6) 生乳生産枠の流動化……後継者の育成強化 みどり牛乳独自で生乳生産枠の流動化事業に取り組んだことが意識を再喚起させ、後継者確保・育成に大きな役割を果たした。この制度は後に国でも事業化され、みどり牛乳の時代の先見性を示すものである。 (7) たい肥化処理システムの整備……環境に優しい酪農 昭和61年に半田市グリーンベース生産組合を皮切りに、順次管内に6組合を設立し、域外流通を含め活発な活動が行われている。 |
新春酪農放談会 組合員全員が自由に意見を出し合える新春酪農放談会。ここで出されたアイデアが事業化されるなど、みどり牛乳農業協同組合の活動の原点であるといえる。 |
半田市酪農組合飼料配合所 「人に給食センターがあるなら、牛にあってもいいのでは」という意見から共同飼料配合所設置の取り組みが始まった。 |
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生乳生産の実績 「協調と競争」をキーワードにしていることから、組合事務所には組合員の生乳生産実績などの順位を張り出している。 |
半田市グリーンベース生産組合 たい肥化システムの整備として昭和61年に設立。全国のたい肥化施設利用組合のモデルとなった。 |