HOME畜産大賞の概要平成12年度選賞事例一覧

指導支援部門・最優秀賞


  北海道河東郡士幌町 
 士幌町酪農振興協議会
(代表 富田忠雄)
生産者が目指した酪農郷
(士幌町酪農振興協議会の活動から)

−管内全酪農経営が加入する「士幌町乳検損防システム」による効率的な指導・支援の推進−

 士幌町は十勝北部に位置する総面積25,900haのうち農用地は15,500haで、総面積の60%を農用地として高度に利用している純農村地帯である。
 経営は主として畑作(馬鈴薯、甜菜、小麦、豆類)と、畜産(酪農、肉牛)を主体とし、このうち酪農は牛乳販売高が農畜産物の販売総額の約24%を占めており、士幌町農業の基幹産業の一つとなっている。
 経営の規模拡大も1戸当たりの搾乳牛頭数は93頭、生産乳量が全道第1位の726t にあり、フリーストールバーンの割合も約42%と全道第1位である。
 このような高水準の酪農を実現したのは、優れた支援組織が存在したからである。まず、士幌町酪農振興協議会は酪農民自らが昭和31年に組織した活動体であり、地域酪農の振興と個別酪農家の経営安定を目的とし、「一元集荷販売」を開始した。昭和50年には士幌町乳牛検定組合を組織し、飼料生産、飼養管理、衛生管理の改善に取り組んだ。昭和55年には乳検データを有効利用するため乳牛個体のデータを蓄積し、データバンク化し、生産者と指導者が相互利用できる体制を整え巡回検診を開始した。この間、酪農家は規模拡大によって日夜経営に追われる状態にあったが、平成元年にヘルパー組織を設立した。
 以上の3組織はそれぞれ歴史的役割を果たしたが、社会情勢の変化にともない総合的な支援体制が必要となり、平成7年に統合し現組織となった。本組織では乳検事業のデータとこれに基づく巡回検診による飼養管理の改善と疾病予防が重要な位置を占めるが、従来の乳牛検定法は大規模経営では煩雑に過ぎ加入率が低下してきた。そこで、検定法の簡略化と賦課金の低減を図り、現在では100%の組織率を誇っている。
 組織が一本化されたことで、士幌町、農協(畜産課、家畜診療課)、農業改良普及センターや上部組織との情報交換や連絡調整がスムーズになり、まさに総合的な酪農支援体制が実現されている。また、屋根付きたい肥舎の建設など環境問題にも積極的に取り組んでいる。

 
士幌町酪農振興協議会定期総会
士幌町の酪農政策は常に生産者が中心となり、酪農振興協議会の中で集約され、町、農協、普及センターと協調・推進をしてきている。
  JA士幌町畜産総合施設
JA士幌町畜産総合施設は生産者のデータバンクとなっており、この施設のデータを活用して生産者への円滑な指導支援が行われている。
     
 
乳牛検定事業の立会検定
現行の検定法とAT検定法との選択制を採用したことで酪農家の乳検事業への参加率は100%となった。
  ヘルパー事業の推進
協議会ではヘルパー利用を推進しており、その一環としてキャンピングカーを購入してヘルパー利用者に貸し出したり、夫婦旅行などにも助成している。