HOME畜産大賞の概要平成11年度選賞事例一覧
地域振興部門・最優秀賞 
いちばんでんしゃ
福岡県  有限会社 一番田舎

畜産農家を核として農業者と
消費者との連携による地域農業の振興
 
 有限会社 一番田舎(代表 鈴木宗雄氏)が所在する前原市は、福岡県の西部に位置した気候温暖な近郊農業地域であり、米、野菜、花、畜産とも大型産地を形成し特に、畜産の粗生産額は県内順位1位となっている。また、100万都市の福岡市に隣接していることから、最近では人口が急増し混住化が進行している。
 このような中で、大規模肉牛経営の長浦牧場(2戸共同 代表 鈴木宗雄氏)は、これからの時代は農業者も生産のみではなく販売にも力を入れるべきであるとの信念のもとに、2戸の耕種農家と共に有限会社 一番田舎を設立、自らが生産した牛肉等の他に、地域農漁民(420名)を組織し、野菜、花、鮮魚の直売所と併せて貸し農園など消費者とのふれあい施設を運営し、農業者と消費者が連携した地域農業の振興を図っている。
 「一番田舎」の推進母体である長浦牧場は、当初は乳用雄子牛の肥育経営を行っていたが、農畜産物の国際化が進行する中で、量から質への経営転換を図るため、黒毛和種の繁殖・肥育の一貫経営に切り替えるとともに、優良種雄牛「豊喜号」を導入して肉質の向上を図り、「糸島牛」の銘柄化にも貢献している。
 前原市では農業振興の目標を、(1)都市近郊の有利性を生かし、大きな変革と特色ある農業の展開により食と農の共生関係を築く。(2)都市と農村が消費者・都市生活者と農業者が相互に信頼、協調、補完しあう共生関係を築く。としており、この目標にいち早く取り組む体制を整えたのが「一番田舎」である。
 「一番田舎」に出荷される農畜産物は、生産者の氏名と生産者自らが付けた価格が表示されるので、消費者には生産者の顔が見える安全・良質な農畜産物が供給され、生産者にとっては、より良い農畜産物を生産する切磋琢磨の場にもなっている。 
 こうした「一番田舎」の取り組みが地域農業者への刺激になり、前原市の農業、農村において、これまでの生産者から農業経営者への意識改革や、流通販売の改善、ふれあい農業の展開、農畜産物のブランド化など、あらゆる面で新たな農業の展開が行われるようになってきている。