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地域振興部門・優秀賞 | ||
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農事組合法人信州市田酪農は、長野県の南の下伊那郡高森町に位置し、気候が比較的穏やかであるが、伊那谷(伊那盆地)特有の日格差を利用し、柿、梨、りんご、桃等の品質の高い果樹生産の盛んな地域である。畜産の粗生産額は果樹に続いて第2位の位置にあり、酪農を中心にして、肉用牛、養豚、養鶏が営まれている。
農事組合法人信州市田酪農は、平成7年2月に高森町の酪農家44名により設立された。 輸入自由化等の国際化の進展により、酪農を中心とする畜産農家の減少や農業全体の衰退を憂える中で、国民の食糧を生産するという誇りを持って農業を続けたいという生産者の想いと安全で安心しておいしいものを食べたいという消費者の想いは共通のものであるという考え方から、生産者自らが乳製品の加工・販売に取り組み、地場消費を中心とした地域に根ざした生産・流通体制の確立により、畜産及び農業全体の活性化を図るため、生産者自らが参画して、自主的、民主的に運営を行う組織として当該組合を設立した。 この組合が目標としたのは、牛乳本来の味と栄養、新鮮さを大切にした低温殺菌牛乳及びドリンクヨーグルトを地域の消費者を中心に提供し、地域ぐるみで食と酪農を守る取り組みを起こして行くことであった。 乳製品加工工場を建設する上で最初の課題は販路の確保であり、役場、農協の協力を得ながら酪農家が中心となって町民に声を掛け、高森町3,300 世帯のうち約1,200世帯に定期購入いただくこととし、また床等に木材を使った販売所を併設し、誰もが訪れ易い地域で愛される牛乳工場を設計し建設した。 乳製品の販売は、みなみ信州農業協同組合に委託して行い、乳製品の宅配及び金銭の取り扱い等運営の事務局をお願いしている。また役場からは、当初の立ち上げの財政的な支援及び独居老人宅への配達をケースワーカーが受け持つなど協力をいただいている。 この結果平成10年度は、134,330,000 円の販売高となり、組合員へ乳質奨励金及び酪農奨励金等合わせて4,000,000 円余還元し、また将来に向けて6,500,000円の資金積み立てを実施している。 生産を支える組合員の平均飼養頭数は11.6頭と比較的小規模であるが、特に原乳衛生について力を注ぎ、細菌数の少ない点は県下のトップレベルにあり、これが消費者からの厚い信頼を得る大きな要素となっている。 なお、組合では、県内及び県外の研修生を受け入れ、同じ様な取組みを目指す酪農家の支援を行っている。また、これらの取組みが契機となり、地域の果樹及び野菜農家が直売センターをオープンし、信州市田酪農も参画し一役を担い、また県内の他の酪農家もこの取組みに刺激され、数カ所で同じような工場が建設されるなどの波及効果もでている。 |