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畜産大賞・指導支援部門最優秀賞
地域総合支援体制による中山間地域の肉用牛振興 
畜産センター
大分県久住町畜産センターのみなさん
 大分県では、農業振興計画として肉用牛の増頭を重点とする振興施策を展開しています。なかでも久住町では、全国的にも数少ない広大な草資源を活用し、放牧を取り入れた夏山冬里方式の肉用経営を中心に行っています。管内では、広域農業開発事業などにより23カ所の共同牧場が開発・整備され、草地造成面積は955ha、放牧・採草(乾草)利用が盛んに行われています。 

 昭和54年4月、肉用牛飼養農家による自主的組織「久住町和牛振興会」が発足したことを契機として、経営指導体制の一元化が強く求められ、昭和57年4月には町、農協、農業共済組合で構成される第三セクター方式による総合指導機関「久住町畜産センター」が設立されました。 

 現在、畜産に関する全ての業務は同センターを中心として行われており、畜産生産者組織の事務局も担当し、改良面から経営まで一元的な指導を実施しています。例えば、「畜産部落座談会」を毎年開催して、生産者を交えた事業実績検討や事業計画の協議の実施。また、経営指導については、農家個々の戸別管理を行い、経営内容に応じた巡回指導を実施するなど、地域の実態とニーズに応じた指導・支援を行うことにより成果を上げています。 

 特に、肉用牛では、久住町和牛振興会との密接な連携のもと、農協、肉牛肥育センターの枝肉データのフィードバックによる改良の推進、繁殖雌牛の個体集中管理指導、肉用牛ヘルパー事業の実施など、地域ぐるみで経営支援に取り組んでいます。しかも県内で唯一着実に増頭している地域であり、飼養頭数は県全体の約1割を占め、肉用牛飼養農家数もほとんど減少していません。以前は、放牧地域にみられがちな子牛の発育遅延がありましたが、根気強い指導の結果、本年8月には市場価格の平均が豊肥市場の平均価格を初めて上回りました。また、肉質の向上による豊後牛の銘柄確立を目的として、育種・改良に積極的に取り組み、優秀な種雄牛の造成及び繁殖雌牛の保留を行っています。 

 この結果、肉用牛飼養頭数は順調に伸び、平成10年2月1日現在7,090頭と県全体頭数の10.4%を占め、県内市町村の中で第一位の飼養頭数となっています。また、農業粗生産額に占める畜産の割合は56%(26億円)であり、肉用牛は全体の26.2%(12億1千万円)に達しています。これらの成果は、同センターの指導支援活動によるものであるといえるでしょう。